IELTSの試験は、目的によって2つに分かれており、難易度もそれぞれ異なります。
この記事では、IELTSのジェネラルモジュールの概要と、リーディング試験の構成について紹介します。
IELTSジェネラルモジュール
IELTSのジェネラルモジュールとアカデミックモジュールは、次のように目的が分かれています。
- ジェネラル:主に移民申請の際に、申請者の英語力を判断する
- アカデミック:大学・大学院進学や、カレッジ進学のための判断基準になる
IELTS試験の需要
日本では、英語力の指標としてTOEICを使用するケースが多いですが、近年ではIELTSの需要が増加しています。
また、IELTSは様々な場面で使えるため、学生や社会人の方など、受験者のライフステージも幅広いです。
- 会社の海外赴任
- 進学
- 英語力の証明
ジェネラルとアカデミックの違い
ジェネラルモジュールとアカデミックモジュールは、難易度と構成が異なっています。
IELTSジェネラルは、アカデミックと比較して内容も理解しやすく、全体的な難易度は低いです。
ただし、スコアを取るために必要な正答率は、アカデミックより高く設定されているので注意しましょう。
試験が4つのセクションから構成されている点は同じですが、リーディングとライティングで出題内容が異なるという違いがあります。
IELTSジェネラルリーディングの概要
IELTS ジェネラルのリーディングは、3つのセクションで構成されます。制限時間は60分で、問題数は40問です。
それぞれのセクションで出題されるトピックと設問数、時間配分は次の通りです。
トピック | パッセージ数 | 問題文の量 | 設問数 | 時間配分(目安) | |
---|---|---|---|---|---|
セクション1 | 広告関連 | 2 | 約1ページ | 約13問 | 15分~20分 |
セクション2 | 仕事関連 | 2 | 約1ページ | 約13問 | 15分~20分 |
セクション3 | 様々なトピック (学術的な内容もある) | 1 | 約2ページ | 約14問 | 20分~30分 |
IELTSジェネラルにおいて、リーディング試験のセクション3の難易度は、アカデミックモジュールと同等です。
アカデミックと比べて難解な語彙は少ないですが、文章の長さや、設問数が多いので、しっかり対策しましょう。

IELTSジェネラルのスコアは、移民目的で使用されることが多いため、セクション1と2は、特に生活に関連したトピックが多くなります。
- セクション1は、広告関連の短文が2つ出題されます。
例)旅行のアクティビティや商品の紹介、求人広告など - セクション2では、仕事関連の短文が2つ出題されます。
例)イギリスの交通機関の説明や、カナダのビザ申請システム、職場のルールなど - セクション1、セクション2とも文章は1ページ程度で収まります。
- セクション3は、学術的なトピックの長文が1つ出題されます。
- 設問数は、セクション1で13問、セクション2で13問、セクション3で14問です。
- 時間配分は、セクション1で15分、セクション2で15分、セクション3で30分を目安に取り組みましょう。
試験とスコア
IELTSでは、英語力をバンドスコアという指標で表し、全セクションの総合スコアを、overallで表します。
必要なスコアは、職業や経歴、年齢や学歴によって異なるので、自分が目標とするスコアを確認しましょう。



カナダで移民申請する場合は、スコア6.0が最低ラインの英語力だと言われています。
スコア換算表
IELTSジェネラルのリーディングでは、正答数に応じてバンドスコアが算出される形式です。
スコア | 9 | 8.5 | 8 | 7.5 | 7 | 6.5 | 6 | 5.5 | 5 | 4.5 | 4 | 3.5 | 3 | 2.5 |
正解数 | 40 | 39 | 37-38 | 36 | 34-35 | 32-33 | 30-31 | 27-29 | 23-26 | 19-22 | 15-18 | 12-14 | 9-11 | 6-8 |
ジェネラルのリーディングは、アカデミックより難易度が低いため、必要な正答数が高くなっています。
例えば、スコア6.0を目指す際に必要な正答数は、アカデミックであれば23~26問ですが、ジェネラルでは30問です。



難易度が低いからこそ、しっかりとスコアを獲得できるよう対策することが重要です。
IELTSジェネラルリーディング対策と勉強法
IELTSジェネラルのリーディングでは、読む力だけではなく、解答のコツを知っていることが重要です。
目標スコアによって対策方法も異なりますが、ここではスコア5.5とスコア6.0の場合について紹介します。
目標スコア5.5
目標スコアを5.5に設定した方は、セクション1とセクション2を完璧に解答できるようになることが重要です。
セクション1とセクション2の難易度は比較的やさしいため、攻略できれば最短でスコアを達成できます。



2つのセクションで全問正解すれば、正答率が25~26問です。セクション3がわからなくても、勘で2~3問正解できれば、スコア5.5になります。
この方法で解答する場合は、セクション1とセクション2に十分な時間をとり、確実に解いていきましょう。
難易度の高いセクション3に時間をかけるよりも、確実にわかる問題を優先し、スコアを獲得することが大切です。
目標スコア6.0
目標スコアが6.0の場合は、40問のうち30問以上を正解する必要があるため、セクション3の攻略が重要になります。
セクション1とセクション2は素早く終わらせ、難易度の高いセクション3に時間を割いて解答しましょう。
セクション1とセクション2解答のコツ
セクション1とセクション2を素早く解答するコツは、本文ではなく、問題文から先に読むことです。
設問からキーワードを見つけ、同じ内容が書かれている箇所を本文から探し出し、解答していきます。
IELTSジェネラルのリーディングでは、本文の流れと設問番号が連動しているケースが多いため、設問も本文も、上から順に読み進めていきましょう。



ただし、段落マッチング問題に限り、本文の段落を先に読んでから、設問を読むという流れになるので注意しましょう。
例題
セクション1とセクション2では、次の例題のように短い文章が出題されます。
Is your Child at School Today?
Introduction
Receiving a good full-time education will give your child the best possible start in life. Attending school regularly and punctually is essential if children are to make the most of the opportunities available to them. ①The law says that parents must ensure that their child regularly attends the school where he/she is registered.
What you can do to help
• Make sure your child arrives at school on time. This encourages habits of good timekeeping and lessens any possible classroom disruption. ②If your child arrives after the register has closed without a good reason, this will be recorded as an ‘unauthorised’ absence for that session.
- If your child has to miss school ③it is vital that you let the school know why, preferably on the first morning of absence. (Your child’s school will have an attendance policy explaining how this should be done.)
- ④If you know or think that your child is having difficulties attending the school you should contact the school. It is better to do this sooner rather than later, as most problems can be dealt with very quickly.
アンダーラインの部分は、解答の根拠となる部分を、設問番号ごとに表しています。
問題1の解答はイントロダクション、問題2の解答は次の段落と、本文の流れに沿っていることがわかります。
必ずしも段落ごとに答えがあるわけではなく、同じ段落に2つある場合や、解答がない段落もあるので、注意して読み進めましょう。
セクション1とセクション2は、まずは設問からキーワードを探し、本文を読み進めましょう。特に、言い換え表現が使われるケースが多いので注意が必要です。
セクション1とセクション2の対策については、以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。


セクション3の概要
セクション3は、ジェネラルリーディングで最も難しく、アカデミック並みの学術的なリーディングです。
セクション1、セクション2とは異なり、設問番号と本文の流れが一致していない場合が多いです。
セクション3を解く際は、内容を大まかに把握するため、まず先に本文に目を通すよう意識しましょう。
セクション3解答のコツ
セクション3では、問題文を先に読んでから本文で該当箇所を探そうとしても、時間がかかってしまいます。
そのため、先に本文を読み全体の内容を把握したうえで、どこに何が書いてあるかをわかるようにしておきます。
本文を全て読もうとしても時間がかかるため、タイトルやトピックセンテンスに注目しましょう。



セクション3では、解けない問題を諦めることも大切です。確実に正解できる問題のみに時間をかけるなど、時間内で正解率を高めましょう。
セクション3のより詳しい対策については、次の記事で紹介していますので、参考にしてください。





リーディング対策は、レベルや目標スコアによって内容が異なります。自分の現状のレベルや要件を事前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
IELTSジェネラルのリーディング試験は、3つのセクションで構成されています。制限時間は60分で、設問数は40問です。アカデミックと比べて難易度が低いため、スコアごとに必要な正答率も高くなっています。
目標スコアや現在のレベルによって対策が異なるため、事前に自分の目標を定めておきましょう。
スコア5.5を目指す方は、セクション1とセクション2に時間をかけ、全問正解を目指しましょう。
6.0以上を目指す方は、セクション1とセクション2は素早く終わらせ、セクション3に時間を割きましょう。
セクション1とセクション2では、本文をではなく問題文を先に読み、キーワードを見つけましょう。その後、解答に必要な情報を本文の上から順番に探していきます。言い換え表現に気づくことが大切です。
セクション3は、まず本文を読んで内容を大まかに把握し、残された時間内で正解率を高めましょう。確実に答えられる設問に時間を割き、わからない問題は諦めることも大切です。
IELTSのジェネラル対策にも特化