文法は英語を学ぶ上で基礎中の基礎。文の骨組みとも言われております。IELTSでも文法は全セクションにおいて大変重要な要素となります。
例えば、リーディングでは文法知識がないと長文を読む上では、読み間違いが多くなってしまうでしょう。どれが主語でどれが動詞なのか、この文はどの文を修飾しているかなど、文の構造を理解しておかないと、IELTSリーディングで出題される長文を読むのに非常に苦労します。
また、ライティングやスピーキングセクションでも文法は評価対象となるため、複文、複合文を正しく使用しているか、文法ミスはないか等、十分注意する必要があります。
下記では、IELTSと英文法の関連性についてお話しします。
直接的な文法問題は問われない
TOEICなどの英語の試験では穴埋め問題のような文法問題が問われますが、IELTSにはそういった問題形式はありません。しかし、文法を知らなければライティングセクションでは正しい文章を書くことができず、スピーキングセクションにおいても試験官に自分が言いたいことを理解していもらうのが難しくなってしまいます。
したがって、IELTSはある程度の知識と文法力があってこそ初めて英語力を試される試験であることを理解しておきましょう。また、すべてのセクションにおいて文法ができるかできないかは、その受験者の解答によって見分けがつきます。つまり、直接的に文法問題を問わなくても受験者の大体の文法知識は解答を見れば認識できるのです。
特にIELTSライティングではそれがはっきりと示されます。なぜなら、一から文章を組み立てる必要があり、さらに文字として残ってしまうからです。「複雑な文法構造を持った文章が誤りなく作れているか」は採点基準の文法の正確さで評価されます。4.5-5.5ぐらいの英語力では稚拙な文章、同じ単語や言い回しを使うことが多くなりがちです。幅広い表現・言い換えができるようになるには、積み上げられる応用力がないとできません。応用力は土台がぐらぐらしていると壊れてしまい、しっかりした基礎がないと積み上げられないため、文法はしっかり勉強しておく必要があります。
文法力が問われるライティング
ライティングを学ぶ上で必ず忘れてはならないことは、ライティングの向上にも復習を怠らないことです。
問題の数をこなす分だけ知識が増え点数アップに繋がる、と勘違いしていらっしゃる生徒様は少なくありません。しかし、復習をすることによってどこがいけなかったのか、なぜ間違えたのか、をしっかり自分で把握し分析することで、同じミスを繰り返すことがなくなり、結果、英語力の向上につながります。新しいものばかりインプットしても消化不良になるだけです。
例えば、時間をかけてIELTSリーディングのパッセージを解いたとしましょう。不正解だった箇所や解釈できなかった文章を後で見直さないと、改善できません。何がいけなかったのか、自分にとってどこが弱いのか、弱点を知っておくことで対策方法も変わってきます。
特にライティングではそれが明確です。文法のミスや不自然な表現などを見直さないとその誤りをまた繰り返すことになってしまいます。これでは同じことの繰り返し。当然のことながら上達への道は遠くなってしまいます。ライティングでも使える表現を書きだしたり、その課題の知識を深めるために記事を読んだりすることで論理的な知識、語彙、表現を学ぶことができます。ライティングも結局は復習を繰り返し、さまざまな表現を自分のものにしていくことが上達への道です。
以下はライティングノートの作成方法についてです。参考にしてください。
重文、複文など難しい文法を使う努力
IELTSライティングでは、とにかく難しい単語を使い、見掛けのいいエッセイを書けば点数が上がると勘違いしていることも多いでしょう。
もちろん、ライティングやスピーキングセクションでは、中級から上級レベルの文法を正しく使うことができれば、減点対象を作らないため高い点数が取れることは間違いありません。その分難しい文法を使えば使うほど文法的ミスが増えることも事実です。
単文と複文を併用できているかも評価対象となりますが、文法的ミスをした場合、自ずと減点となりますので十分注意が必要です。
ライティング6.5以上を目標とする場合でない限り、無理して難しい文法は使わず、確実にポイントが取れる書き方、文法表現を使った方が効率がいいのは確かです。
文法は積み重ねが非常に重要です。暗記するのではなくロジカルに構造を理解する必要があります。
一般的に中学生レベルの英文法を理解できていれば、英会話は成り立つと言われておりますが、IELTSの試験はアカデミックな内容になるため、それ以上の英語力が求められます。また、英語は口語表現と文語表現では単語のレベルが違います。自然な表現や言い回しなどを学ぶ必要性がありますが、ライティングは記事など書かれているものから学ぶようにしましょう。英語のラジオを聴いたり映画を見て覚える表現は口語表現であることが多いです。アカデミックな用語の定義は「unusual words」、普段からあまり使わない用語、フォーマルは表現と理解するといいでしょう。英語のワードにはクラスがあります。その分別を「Register」(言語領域)と言います。ライティングでは口語ではあまり使用しない用語や表現を使用すると高得点につながります
【Unusual wordsの例】
口語的表現 | 文語的表現 |
illness/disease (病気) | ailment |
start (始める) | commence |
make up (作り上げる) | fabricate |
enough (充分な) | sufficient |
job (仕事) | occupation |
押さえておくべき文法項目
日本の教育課程ではスピーキングやライティングといったアウトプットよりも、英文法や英単語といったインプットに重きを置いているため、文法重視の傾向があります。前でも述べたように文法はIELTSにおいても大変重要な要素の一つです。
しかし、日本語と英語はかけ離れた言語であるため英文法の法則やルールを100%理解することは難しく、試験本番でも文法ミスを無くすための時間が取れない方も多くいることでしょう。
全ての英文法を網羅するには分厚い参考書を何冊も読まなくてはならない程、並大抵なものではありません。
IELTSライティングにおいて、文法項目の中でも減点されやすいモノされにくいモノの区別をつけておくとよいでしょう。
時制、動詞の役割(一般動詞・be動詞・助動詞など)、文型、受動態、仮定法、などの使い方を間違えると文章の意味自体を変えてしまうので注意が必要です。ここをしっかり固めておくとよいでしょう。
一方で、冠詞の theとa の違いや単数形・複数形のような間違えたところで、さほど文章の意味を変えない文法項目にはこだわる必要はないでしょう。もちろん、間違えると減点の対象になりますが、前者と比較すると重要度は低いです。冠詞や単数形・複数形といったルールは日本語にはありませんので、日頃から注意することを心がけると自然に身につくようになるでしょう。だいたいは高校レベルの文法がしっかりしていればよいでしょう。
英語基礎能力を総合的に高めるために、正しい文章のインプットとしてのリーディングとリスニング、そして正しいアウトプットができるように瞬間英作や感想文を書くことです。このようにインプットとアウトプットのバランスを保ち記憶により定着できるようにしましょう。それと同時に文法項目が弱い所を把握して理解を深めていきましょう。
まとめ
文法は人間の体で表すと骨の部分。英語学習においてもなくてはならない存在です。その骨がぐらぐらしていると肉付けができません。
IELTSでは直接的な文法問題はないにしろ、全セクションにおいて間接的に求められるため文法を勉強する必要は十分あります。ライティング及びスピーキングセクションでは、文法を正しく使えているかは評価対象となっています。目標スコアによっては、重複文を使った文法表現を頻繁に使用することで高得点を得られる可能性がぐっと高まります。
正しい文法知識を習う