IELTSリーディングの学習をしていて、難しいと思った方も少なくないのではないでしょうか。
解答時間が少ないIELTSのリーディングでは、いかに早く文章を読み理解できるかが重要になります。
この記事では、IELTS試験以外でも役立つ、リーディング力を底上げする方法を紹介していきます。
IELTSリーディングとは…
IELTSのリーディング学習では、次のような声を聞くことがよくあります。
- 課題が難しい
- 読むのが遅い
- ゆっくり読めば分かるのに
- 単語が分かれば読めるのだけど…
IELTSリーディングは、問題を解く際に、辞書を使用して時間をかければ、簡単に解ける問題もたくさんあります。

アカデミックで難易度の高い文章でも、辞書を使って解けば読める方も多くいるはずです。
実は、IELTSのリーディング試験を難しいと感じさせている大きな原因は、「時間」と「語彙力」です。
リーディング試験の構成
IELTSアカデミックモジュールのリーディングは、次のような構成です。制限時間は60分で、設問数は40問です。
パッセージ | 設問数 | 時間配分 | |
---|---|---|---|
パッセージ1 | 約2ページに渡る学術的な長文 | 12~13問 | 20分 |
パッセージ2 | 約2ページに渡る学術的な長文 | 12~13問 | 20分 |
パッセージ3 | 約2ページに渡る学術的な長文 | 12~13問 | 20分 |
IELTSのリーディング試験は、とにかく時間との戦いですが、本文を読まずに高得点を取ることは難しいです。
リーディングでは、「いかに早く内容を理解し、設問の答えを導くことができるか」が重要なスキルになります。
IELTS リーディングの読めない原因はズバリこれ!
IELTSリーディングで多くの方が抱える問題点には、次の5つがあります。
- 時間内に終わらない
- なんとなくで設問を解いている
- 問題文の意味をはき違えている
- 単語の意味がわからない
- 学術的な内容、興味のないトピックが頭に入ってこない
IELTSの試験で必要とされるリーディング力は、「読解力」と「速読力」です。
では、どうすればこれらのスキルを身に着け、鍛えていくことができるのかを紹介していきます。
リーディング力を鍛える方法
リーディングの学習を行う際は、次のポイントに意識して取り組みましょう。
- 精読を行い、読めない文の有無を確かめる
- 必要であれば文法をおさらいする
- 作者の意図をつかむ
- 速読を意識する
- 集中できる環境で読む
- 模擬問題ではなぜ間違ったのかを把握する
日常的にやること
- 多読、精読を繰り返す(語彙力強化)
- 小説を読んで想像力を養う
1.精読を行い、読めない文の有無を確かめる
精読とは、時間をかけて文章をゆっくり読むことです。
リーディングで解いた問題などを振り返り、どの文章が、なぜ読めなかったかを分析し、弱点を明確にします。
精読を行った後はもう1度同じ文章を読み、さらにわからなかった部分を復習し、読めない文をなくしていきましょう。
2.必要であれば、文法をおさらいする
読めない文章がある、ということは、文法面で理解できていない部分がある、ということです。
読解力の向上に文法力は不可欠で、構造が理解できないと読み間違えが重なり、意味を間違えてしまいます。
文法をおさらいすることで、読めない文章をなくしていきましょう。



通訳や翻訳の場面では、「文法的に解析すれば、読めない文はない」とよく言われます。
スラッシュリーディング
まずは、「スラッシュリーディング(区切り読み)」をやってみましょう。
スラッシュリーディングは、英文を頭から理解できるよう、意味のかたまりごとにスラッシュ( / )で区切って読んでいく方法です。
文章を読む際に、関係代名詞などを後ろから戻って意味を理解しようとすると、時間がかかってしまいます。
スラッシュリーディングは、前から後ろに効率的に内容を理解するために効果的です。
例文
次の文章をスラッシュリーディングを用いて読み取っていきましょう。
However, smallholder farmers in developing countries must in addition deal with adverse environments, both natural, in terms of soil quality, rainfall, etc., and human, in terms of infrastructure, financial systems, markets, knowledge and technology.
スラッシュリーディング
However/, smallholder farmers in developing countries/ must/ in addition/ deal with /adverse environments,/ both natural,/ in terms of soil quality, /rainfall, etc.,/ and human,/ in terms of infrastructure,/ financial systems,/ markets,/ knowledge/ and technology./
日本語訳
しかしながら/発展途上国の小自作農は/しなければならない/加えて/対処する/ 劣悪な環境を/自然の要素/土壌の質に関しての/降水量など/そして人的要素/インフラ基盤において/財政システム/市場/知識/そして技術。
文章の意味は、前からつなげて取っていきましょう。この問題では、次のように解釈します。
しかしながら、発展途上国の小自作農は、加えて険悪な環境に対処しなければならない。(その険悪な環境とは)土壌の質、降水量のような自然要素とインフラ基盤、財政システム、市場、知識そして技術における人的要素だ。
解説
この文章は、目的語がとても長く、文の構造が見分けずらいです。
このような文章では、構造上大事ではない要素は抜かして、シンプルな文型で考えることが効果的です。
形容詞や副詞などの修飾語は、それがなくても意味が成り立つため、そこまで重要ではありません。
文章の構造上、重要でない形容詞と副詞を除くと、この文はシンプルな「S+V+O」の文型です。
主語=smallholder farmers in developed countries
動詞=deal with
目的語=adverse environment
また、この例題では「both A and B」の構文が使われており、「~などの自然的要素と~などの人的要素の両方が」と訳します。



構文を理解することは、内容を理解することにつながりますので、非常に重要です。
S+Vを見極める
英語の文章で最も大事な構造は、「主語」と「動詞」です。まずはこの2つを見極められるようにしましょう。
IELTSの長文では特に、主語の修飾や、関係代名詞や分詞などが入り、構造がわかりづらいことが多々あります。
複雑な構造の文章を読む際は、「どこまでが主語で、どこが動詞か?」を意識して注意深く読むことが大切です。



リーディングでは、副詞や形容詞などの修飾語はあまり重要ではありません。まずは、主語と動詞、目的語を理解しましょう。
3.作者の意図をつかむ
どのリーディング教材でも、「作者はこの段落では何かいいたいのか」を考えながら読み進めていきましょう。
どのような記事や論文においても、作者は読者に何かを伝えようとしているます。
作者の意図がわかれば、段落の組み立てや発展、何のために例を出しているかなど、より文章を理解できます。
タイトルに注目する
作者の意図をつかむためには、まずタイトルを読むことが大切です。
最初にタイトルを把握した上で、次のポイントに意識しながら読み進めましょう。
- このパッセージでは何がいいたいのか?
- どうしてこの段落にもってきたのか?
- 作者が言いたいことは何か?
アウトプットするつもりで読む
文章を読む際は、誰かに説明したり、要約したりするつもりで読むと、より理解しやすくなります。
ただ読むだけでなく、どこがポイントかを意識しながら読むようになるため、作者の意図に気づきやすくなります。



作者の意図をつかむことは、学術的なトピックであればあるほど、大事なポイントになります。
4.速読を意識する
文章の読解力を鍛えるために、「精読」や「多読」を繰り返すことは重要です。
しかし、IELTSのリーディングは時間との戦いのため、「速読テクニック」を磨くことが非常に重要です。
速読の練習
速読練習では、時間を決めて文章を読み、時間を気にする癖をつけることが大切です。
時間を意識せず試験問題を解くと、思ったよりも時間がない、焦って内容がわからない、などの問題が生じます。
速読の練習を行う際には、次のポイントに気を付けましょう。
- 音読しない(声に出して読まない)
- 文字を指でなぞりながら読まない
- 文字を追う際に顔や首を一緒に動かさない
- 同じ場所に戻って繰り返し読まない
音読をしてしまうと、話す速度と同じスピードで読むことになりますが、それだと速度が足りません。
読む際は、目を左から右に素早く移動させますが、文章全体が視界に入るような距離を保って読みましょう。



時間のプレッシャーがあっても、焦ることなくしっかりと内容を理解できるように練習していきましょう。
5.集中できる環境で読む
文章の内容が頭に入らない理由として、読んでいる環境が悪いという可能性もあります。
読書をする際は特に、自分が最も落ち着ける場所が最適と言われています。集中できる環境で読んでみましょう。
反対に、次のような環境では集中できないことが多いので、できるだけ避けましょう。
- 目の前にスマホを置いて読む
- テレビや動画、音楽などを流しながら読む
- 家族や友達がいるリビングなどで読む
- 音楽や人声が騒がしすぎる場所で読む



文章の内容を頭に入れるためには、本や教材と1対1で向き合えるような環境を整えることが大事です。
6.模擬問題ではなぜ間違ったのかを把握する
模擬問題を解いた後は、必ず復習を行い「どこを間違えたのか」、「なぜ間違えたのか」を明確にしましょう。
自分の解けなかった問題を振り返ることで、自分の弱点がわかり、効果的な対策を取ることができます。
原因を細分化する
まずは、自分が間違えた箇所を確認し、その理由と原因をさらに細分化していきます。
- なぜ、読み間違えたのか?
- 内容を間違って認識していたのか?
- ケアレスミスだった?
- 指示代名詞が指しているものを取り間違えた
- そもそも問題文の理解が甘かった
- 同義語、類義語が見分けられていなかった
このように、なぜ間違えたかを明確にするだけでも、同じ間違いを防ぐことにつながります。
リーディングの復習の重要性や方法について、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


7.多読・精読を繰り返す
たくさん読む「多読」と、丁寧に読む「精読」を繰り返しましょう。
英文を読む習慣をつけることで、読書が苦痛ではなくなり、自然と読むスピードが上がっていきます。
最初から難しい教材を選ぶとモチベーションの低下にもつながるので、自分のレベルに合うものを選びましょう。



教材のレベルは、易しいものから徐々にステップアップしていくことが理想です。
わからない単語
読み進める中でわからない単語があっても、文章の大まかな内容がわかれば、毎回確認しなくても問題ありません。
わからない単語は後で振り返れるようにしておき、文章を読み終わった後でまとめて確認しましょう。
ただし、わからない単語が何度も繰り返されている場合は、辞書で意味を調べた方がスムーズです。
繰り返し読むこと
英文やわからない単語を繰り返し読むことで、脳に記憶として定着するというメリットがあります。
また、英文を読むことに抵抗がなくなるため、集中力も向上し、内容が理解しやすくなります。



インプットの強化は、最終的にアウトプットの強化にもつながります。ぜひ、英文を読む習慣をつけていきましょう。
8.興味のある小説を読んで想像力を養う
速読力を高める方法として、早く先を知りたくなる、読み進めたくなるような小説を読むことも効果的です。
また小説を読むことで、読解における大きなポイントである「想像力」と「推測力」も自然と身に付きます。
読解力の向上につながる理由
小説を読むことが読解力の向上につながる最大の理由は、これから起こることを想像できるからです。
「楽しく、想像力を高めて読む」ことが読解力理解力を格段に向上させます。
楽しく読む
リーディング教材として、展開にワクワクするミステリー小説や、NYのベストセラー小説などは最適です。
単語のレベルも難しくなく、展開も楽しめるため、リーディングが楽しくなり、苦になりません。
読み慣れていない間は、読書が苦痛にならないよう、自分が好きなジャンルの中から読みやすい本を選びましょう。
おすすめの小説
「NEW YORK BEST SELLER」の本は、どの本も比較的読みやすくなっているのでおすすめです。
- The Midnight Library
- The passenger by Lisa Lutz
- The Riverside Villas Murder
- The Da Vinci Code




リーディング学習で大事なこと
リーディング力を底上げには近道はなく、読む英文の量を増やし、考えながら読む習慣をつけることが重要です。
- 速読ができるようになるためには、理解力を向上させることが重要
- 理解力を向上させるためには、1つの文章を黙読し、意味を理解することが必要
英文の情報を処理する能力を高めるためには、とにかく英文を読み、文章の構造を即座に理解できるようになることが大切です。
リーディングの能力を短期間で上げることは難しいですが、1日1日コツコツ積み重ねれば、必ず成果につながります。
継続の秘訣
リーディングの学習を継続させるうえで最も重要なことは、自分に合った教材を選ぶことです。
教材の種類は、IELTSに限らず、何を用いても問題ありませんが、必ず自分のレベルに合ったものを選びましょう。
文章を読んだ際に、そこまで時間をかけずに読むことができるものが適切なレベルの教材と言えます。



合わない教材を選んでしまうと、時間をかけるほどつらい、わからない、毎日続けられない、の悪循環に陥ってしまいます。
まとめ
IELTSのリーディング試験が難しい、読めない、と感じるてしまう原因はいくつかあります。
リーディング力を底上げする方法として、まずは文章構造の解析と文法のおさらいをすることが大切です。
教材は、自分のレベルに合ったものを選び、苦にならず読む習慣をつけることが、何よりも大事です。読むことに慣れると、自然と読むスピードが速くなり、語彙の量も増えます。
IELTS対策として問題を解くだけでなく、小説を読むことや作者の意図を推測しながら読むことでも、想像力や読解力、推測する能力を養うことができます。
IELTSリーディング対策なら