IELTSリーディング 読めない理由はこれ!

IELTSのリーディングの指導をしていると、生徒様からの「課題が難しい」「読むのが遅い」「ゆっくり読めば分かるのに」「単語が分かれば読めるのだけど…」といった声をよく耳にします。リーディングは辞書を使ってゆっくり読めば解ける問題はたくさんあるでしょう。アカデミックな内容でも辞書を使って単語をとっていけば何とか読めていけるでしょう。しかしその時間がないから問題なのです。また辞書を見ることもできません。では、どのようにリーディングを時間内で読んで、正しい答えを導けるようになるのでしょうか。ここでは、リーディング力を底上げする方法を教えます。

IELTSリーディングとは…

まず、IELTSのリーディング【アカデミック】では長文(パッセージ)が3つあり、合計40問を60分内に解いていきます。

パッセージ1約2ページに渡る学術的な長文12~13問20分
パッセージ2約2ページに渡る学術的な長文12~13問20分
パッセージ3約2ページに渡る学術的な長文12~13問20分

その通り!リーディングは時間との闘いです。しかし、本文を読むことなしで高得点(6.5 以上)を取ることは難しいと言えます。そのため、「いかに早く内容を理解し、設問の答えを導くことができるか」が大事な要素です。

IELTS リーディングの読めない理由はズバリこれ!

リーディングでの代表的な問題点

  • 時間内に終わらない
  • なんとな~くで設問を解いている
  • 問題文の意味自体をはき違えている
  • 単語の意味が分からない
  • 学術的な内容が頭に入ってこない(興味のないトピック)

では、どうすればIELTS に必要なリーディング力、つまり読解力、速読力を身につけることができるのでしょうか。

最終的には、リーディング力を底上げするのに、マジックはなく、考えながら読む英文の量を増やすことしかありません。速読ができるようになるには、理解力を向上させること。理解力を向上させるには、一文を黙読すると同時に意味が取れることです。つまり、英文をプロセスする時間(英語情報処理能力)を短縮するにはたくさんの英文に触れて、文の構造を即座に理解することです。

リーディングの能力を一気に短期間で上げることは難しいことですが、一日一記事を読むことは誰でもできます。その積み重ねが大きな成果につながります。

IELTSのリーディング課題だけではなく、他の教材のリーディングの問題を解いても構いません。自分で読む機会を増やすことは難しいことではありません。難しいと思うのは自分のレベルに合っていない教材を読んでいるからです。レベルは自分より少し上の大題材を選びましょう。読むのにそれほど時間がかからない程度です。時間をかけてやればやるほどしんどい、分からない、毎日続けられない、の悪循環に陥ります。

読む際には、以下を意識して読んでみましょう。

  1. 精読を行い、読めない文の有無を確かめる
  2. 必要であれば文法をおさらいする
  3. 作者の意図をつかむ
  4. 速読を意識する
  5. 模擬問題ではなぜ間違ったのかを把握する

日常的にやることはこれ!

  1. 多読、精読を繰り返す (語彙力強化)
  2. 小説を読んで想像力を養おう

1.精読を行い、読めない文の有無を確かめる

読めない文があるということは、文法上どこか理解できていない部分があるはずです。
私が翻訳と通訳に携わっていた頃、よく言われました。

文法的に解析すれば、読めない文はない

これは、まさにその通り!!
文法面から解析して、読めない文をなくすことです。

まずは、「スラッシュリーディング(区切り読み)」をやってみましょう。
聞いたことがありますか。

英文を頭から理解できるよう、意味のかたまりごとにスラッシュ( / )で区切って読んでいく方法です。
関係代名詞のところは後ろから戻って、などとやっていると時間の浪費になります。前から後ろにつなげるように意味を取っていくには、スラッシュリーディングが効果的です。

例文】However, smallholder farmers in developing countries must in addition deal with adverse environments, both natural, in terms of soil quality, rainfall, etc., and human, in terms of infrastructure, financial systems, markets, knowledge and technology.

スラッシュリーディング

However/, smallholder farmers in developing countries/ must/ in addition/ deal with /adverse environments,/ both natural,/ in terms of soil quality, /rainfall, etc.,/ and human,/ in terms of infrastructure,/ financial systems,/ markets,/ knowledge/ and technology./

 日本語】
しかしながら/発展途上国の小自作農は/しなければならない/加えて/対処する/ 劣悪な環境を/自然の要素/土壌の質に関しての/降水量など/そして人的要素/インフラ基盤において/財政システム/市場/知識/そして技術。

日本語訳】意味は前から取っていきましょう
主語、動詞、目的語の順番で訳すと、しなしながら、発展途上国の小自作農は加えて険悪な環境に対処しなければならない。(その険悪な環境とは)土壌の質、降水量のような自然要素とインフラ基盤、財政システム、市場、知識そして技術における人的要素だ。

文法のポイント

この文は「S+V+O」の文型です。<下記は簡潔にSとVとOを引き抜きました>
主語=smallholder farmers in developed countries
動詞=deal with
目的語=adverse environment 

解説】この文章では、目的語がとても長いため文構造が見分けずらいかもしれません。大事でない要素は、副詞や形容詞です。これらの文の構造上大事でない要素を抜かして考えると分かりやすくなります。
逆に言えば、副詞や形容詞がなくても文は訳せます

また、ここでは 「both A and B」 の構文が使われています。つまり「A:~などの自然の要素」と「B:~などの人的要素」と訳します。構文を理解することは内容を理解する上では非常に重要です。

2.必要であれば、文法をおさらいする

「S+Vを見極める!」

読解力を高めるためには、文法的な解釈はどうしても必要になります。英語の構造理解ができないと、読み間違えが重なり、意味をはき違える結果となります。一番大事な文法構造とは、どこまでが主語なのか?特にIELTSの長文では主語が長い文章が多々見受けられるため、「どこまでが主語で、どこが動詞か?」を把握しましょう。関係代名詞や分詞などが入っている複雑な文章構造だと、どれが文章の動詞か?が見極めずらいことがありますので注意しましょう。また、リーディングでは、修飾語(副詞や形容詞)はあまり重要ではありませんのでそちらに気を取られるより、主語と動詞、目的語を理解しましょう。

3.作者の意図をつかむ

どのリーディング教材でも、作者はこの段落では何かいいたいのか、と考えるようにしましょう。学術的なトピックであればあるほど大事なポイントとなります。

まずは、タイトルはとても大事です。タイトルを把握した上で、「このパッセージでは何がいいたいのか、どうしてこの段落にもってきたのか?」「作者が言いたいことは何か?」ということを常に考えながら読み進めましょう。最終的にはどんな記事でも論文でも、作者が何かを読者に伝えるものです。作者の意図が分かれば「段落の組み立て」、「発展」、「何のための例を出してきたのか」、等も把握できるようになります。

また、読む時に内容をアウトプットする前提で読んでみましょう。どこがポイントなのか意識しながら読むようになります。

4.速読を意識する

「精読、多読」を繰り返すことも大事ですが、速読テクニックを磨くことも大事です。時間を気にしながら読む練習をすること。時間を気にしないでいると、実際に試験で時間内に解く時に、焦って内容が把握できない、などの問題が生じます。まず、時間内で読む練習をする時に下記のことに注意しましょう。

【速読をする上での注意】

A. 音読はしない<声に出して読まない>
B. 文字を指でなぞりながら読むことはしない
C. 文字を追う際に顔や首も一緒に動かさない
D. 同じ場所に戻って繰りかえし読みはしない

音読をしない理由は、声と同じスピードでは遅いからです。黙読する時には目を強制的に右から左で素早く移動させましょう。また、一機に多くの文字をプロセスできるように、ある一定の距離を保って教材を読むようにしましょう。そして時間を気にしながら読む練習をします。時間のプレッシャーがあっても、焦ることなくしっかりと内容が取れるように練習していきましょう。

5.集中できる環境で読む

リーディングの内容が頭に入らないのは、読んでいる環境が悪いのかもしれません。静かで集中できる環境で読んでみましょう。読書をするには特に自分が一番落ち着く場所が最適な場所と言われています。

目の前にスマホを置いたまま、もしくはテレビをつけたままなどはやめましょう。
他の家族のメンバーとシェアするリビングなどの騒がしすぎる場所で読むのもやめましょう。

本の内容を頭に入れるためには、本と1対1で向き合えるような環境を整えることが大事です。

6.模擬問題ではなぜ間違ったのかを把握する

模擬問題を解く時には、解いた後には、必ず「なぜ間違えたのか」を明確にしましょう。内容を間違って認識していたのか?ただのケアレスミスなのかを区別することができます。ケアレスミスであれば、それをいかになくしていくかが短期スコアアップのカギとなります。
また内容を読み間違えていたケースでは、「なぜ、読み間違えたのか?」をしっかりと把握して、同じ間違えはしないようにしましょう。例えば、指示代名詞が指しているものを取り間違えた、そもそも問題文の理解が甘かった、同義語、類義語が見分けられていなかった、など。なぜ間違ったのかを曖昧にすると、同じ間違いをおかすことになるので気をつけましょう。

リーディング復習が大事な理由も非常に参考になるので下記からチェックしてください。

7.多読・精読を繰り返す

読むことに慣れることで、読書が苦痛ではなくなります。そして自然と読むスピードが上がります。基本は精読、多読を繰り返すことにあります。レベルの易しいものからステップアップしていきましょう。最初から難しいものを読んでも効果はありません。

また、単語の意味をひとつひとつ調べながら読み進めるのも勉強になりますが、文章の大まかな意味が想像できる場合は特に辞書を引いて確認する必要はありません。(後であってるかどうか、単語の意味を確認することは大事)

本文中に何度も繰り返される英単語がわからない場合は、辞書で調べてその意味を把握しましょう。
何度も目にすることで、脳に記憶として定着します。

さらに、こういった英語の文章をたくさん読むことで、集中力が付くという利点もあります。
そして、インプットの強化は、最終的にアウトプットの強化にもつながります。

先にも述べましたが、読んでみて難しすぎる場合は、自分の能力には合わないリーディング教材です。
辛くなるだけなので、絶対にやめましょう。

8.興味のある小説を読んで想像力を養おう

読むスピードを速める方法の1つとして、早く先を知りたくなるような(読み進めたくなるような)小説を読むことをおすすめします。また小説を読むことで、読解における大きなポイントである想像力と推測力が自然と身に付きます。

例えば、展開がワクワクするミステリー小説や、NYのベストセラー小説などはあまり難しい単語を使用しておらず、読解練習にも最適だと言えます。リーディングが楽しくなり、苦になりません。
この想像と推測により、読むことが楽しくなるのです。

あまりレベルが高くない本がおすすめです。例えば 「NEW YORK BEST SELLER」 の本は比較的読みやすくなっています。自分の好きなジャンルを選びましょう。小説を読むことが読解力につながる一番の理由はこれから起こることを想像しながら読むことができるからです。「楽しく、想像力を高めて読む」ことが理解力を格段に向上させます。

おすすめの小説

・The Midnight Library
・The passenger by Lisa Lutz
・The Riverside Villas Murder  
・The Da Vinci Code 

まと

IELTSリーディングが難しい、読めないと感じるのは理由があります。リーディング力を底上げる方法とて、文構造の解析と文法のおさらいは欠かさないようにしましょう。そしてレベルに合った題材を選びましょう。苦にすることなく読むことを習慣づけることが何よりも大事です。読むことに慣れると自然と早く読めるようになり、語彙量も増えます。

ただIELTS対策のためにリーディング問題を解くだけではなく、小説を読むことで想像力を身に付けたり、作者が最も言いたいことを推測をしたりする能力も養えます。

IELTSリーディング対策なら

Metropolitan Academy of English

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