Part 2 : 関係代名詞that編
文法を勉強していく上で必ずぶつかる、that節と関係代名詞that。避けて通れないが故に、「何が違うの?」という質問も多く頂きます。今回は、関係代名詞thatについてお話をしていきます。
そもそも「関係代名詞」とは何のことでしょうか?日本語にない概念が故に理解しづらく、混乱してしまうのも当然です。
関係代名詞は「関係詞」と呼ばれる品詞の仲間で、文の前後を繋げる役割を持つものです。
簡単に言えば、「関係代名詞はその前にある名詞について、これから説明をする」という目印になるものです。
その中でも便利な表現として利用されるthat。関係代名詞「that」は、先行詞が人や動物、物、事の場合に使われ、
Which, Who, Whomの代わりに利用することが出来るので、「thatを使えばいいのでは?」と思う人も多いのが事実です。
しかし「that」しか使えない場合や、「that」が使えない場合もあり、実は少し奥深いんです。
今回は、関係代名詞「that」を紐解いていきます。
関係代名詞「that」と混同しやすい that節 に関しては下記のPart 1も参照してください。
(1) 主格を表すthat
関係代名詞が、それに続く節の中で主語として機能するものを「主格のthat」と呼びます。
例文で一緒に確認をしてみましょう。
The old man that lives across the road has recently got married for the fifth time.
(向かいに住んでいる老人は、最近5度目の結婚をした。)
関係代名詞の主格として使う文では、「先行詞 + 関係代名詞that + 動詞」という順番で文が作られます。
この例文の場合、関係代名詞whoを使っても間違いではありません。
(2) 目的格を表すthat
関係代名詞がそれに続く節の中で、目的語の役割を果たすことを「目的格のthat」と呼んでいます。
文章だけでは難しいので、先ほど同様に例文を見ていきましょう。
Most people have old things (that) they don’t want to throw away.
(多くの人は捨てる気になれない古い物を持っている。)
関係代名詞の目的格として使う文章では、「先行詞 + 関係代名詞 + 主語 + 動詞」という順番で作られ、
主格の時にはなかった、主語が追加されます。そして、目的格を表すthatは省略が可能です。
ここまでは関係代名詞thatの大まかな使い方を説明しましたが、次は「関係代名詞that」を使用しなくてはいけない場面を紹介していきます。
関係代名詞thatを使う必要がある場合
その①: 先行詞が人+物(動物)の場合
先行詞が「人+物(動物)」の場合は、関係代名詞はthatを使う必要があります。
早速、例文を見ていきましょう。
I saw a dog and a girl that were walking in the park.
(私は公園で歩いている少女と犬を見ました。)
今回は人+動物でしたが、このような場合はthatを使わないといけない決まりになっています。
その②: 先行詞に、最上級の形容詞(bestなど)やfirst/only/very などが付いている場合
The best / the tallest, first / only / veryなどが先行詞に付随している場合、関係代名詞はthatを使うというルールがあります。
This is the tallest mountain that I have ever seen.
(これは、私が今まで見た中で最も高い山です。)
先行詞が「最高」という強い場合や、「一番」など特定できる場合はthatを関係代名詞を使うことが一般的です。
その③: 先行詞がall/anything/everything/little/much/nothing の場合
先行詞が上記のように「全」または「無」の意味の修飾語を伴う時は、thatが使われる傾向があります。
・ Don’t believe all the gossip that you hear. (耳にする噂をすべて真に受けては受けない。)
このように、 all / any / every / noなどの合成語が該当するので覚えておきましょう。
その④: 疑問詞Whoの直後に来る場合
誰を示すWhoが来て、すぐ後ろに関係代名詞で文を作る際はthatを使います。
Who that has pride in him can stand such an insult?
(誇りを持っている人なら、誰がそんな侮辱に耐えられるか?)
疑問詞Whoの後にthatの代わりに関係代名詞who…?となると、見栄えがとても悪いですよね。
このような場合は、関係代名詞whoではなく、関係代名詞thatを使います。
その⑤: 先行詞が人の性質や状態を示す場合
「先行詞が人の性質や状態を表している」=「先行詞が人の性格・職業・地位・特徴を表している」という場合も、
関係代名詞thatを使う傾向にあります。
Bill is not the great athlete that he used to be.
(ビルは以前のようなすごいアスリートではありません。)
この例文では先行詞は「athlete」となり、主語「Bill」の性質や状態を示していますね。
それに続く関係詞節「that he used to be」が先行詞の「athlete」の補語になっています。
※補語: 主語がどういう状態かを説明する言葉
このような場合、関係代名詞「that」を一般的に使います。
確かにここで関係代名詞whoなどを利用すると、文章として違和感がありますね。
では逆にどんな場合に、関係代名詞Who/Whichを使うのでしょうか?
関係代名詞thatが使えない場合
非制限用法の場合
「非制限用法」とはそもそもどのような用法でしょうか?
これは、(一応)完結した文の終わりに付け、先行詞について更に説明を加える用法のことです。特徴は以下2つとなります。
◎先行詞と関係代名詞の間にコンマ「,」を置く
◎先行詞は特定の物や人であることが多く、補足的な説明を付ける役割
例題も2つ見てみましょう。
He has two daughters who are studying music.
(彼は音楽を勉強している娘が2人います。) ⇒ 他にも娘さんがいる可能性もある。
He has two daughters, who are studying music.
(彼は2人の娘がいて、2人とも音楽を勉強しています。)
⇒ 2人の娘と特定されており、, who…以降の文は娘さんの説明となっています。
このように【非制限用法】の場合、関係代名詞は「that」ではなく先行詞に応じて、, which / , whoを使うことになっています。
「thatの様々な用法と見分け方」という他の用法なども参照してください。
まとめ
- 目的格を表すthatは、省略することが可能
- 関係代名詞thatは、なめらかに、正確に修飾文を導く役割を果たす
- 関係代名詞thatを使わないといけない場面は、5つほどある
- 非制限用法の時は、関係代名詞thatは使えない
that節は複雑で、一度に全てを理解することはとても難しいかと思いますが、一度整理させてそれぞれの用法を覚えてしますとそれほど苦労することなくなります。
あいまいな英文法をしっかりマスター