IELTSリスニングでの音声の速度は、自然な会話よりゆっくりで、発声もはっきり話している場合が多いです。
この記事では、IELTSリスニングを難しいと感じる理由と、その対策方法を紹介していきます。
IELTSリスニングは難しい!?
IELTSのリスニングで使用される音声は、自然な会話に比べると、ゆっくりしていて、発音も明瞭です。
ブリティッシュアクセントも強くないため、リスニングに慣れていると、実は難易度はそこまで高くありません。
IELTSのリスニングを難しく感じてしまう理由として、次の6つがあります。
- IELTSリスニングの問題形式に慣れていない
- イギリスもしくはオーストラリア英語に慣れていない
- ひっかけ問題にひっかかってしまう
- 語彙力不足・発音の間違った知識
- 根本的な基礎リスニング力不足
- IELTSリスニングが一番先(一番最後)に実施されるため集中力が欠けてしまう
ここでは、それぞれのポイントについて、原因と対策方法を紹介していきます。
1. IELTSリスニングの問題形式に慣れていない
IELTSのリスニング試験では、リスニング力だけでなく、次のような能力も必要になります。
1.単語の正しい理解
リスニングセクションで頻出する穴埋め問題では、スペルミスに気を付けましょう。
大文字、小文字を含めスペルが間違っていると、解答があっていても、不正解になってしまいます。
2.問題の先読みを行う
音声が流れるまで20~30秒の間が空ります。その時間を使って、事前に問題文に目を通しましょう。
音声の内容や質問の予測ができるため、聞き取りやすくなり、正答率を上げることにもつながります。
3.語彙力
語彙力が不足していると、音声や問題の内容を理解できず、解答を導くことができません。
パートが変わると内容もアカデミックになり、難易度が上がるため、専門的な単語の知識も必要になります。
4.読解力
音声が聞き取れていても、内容を正しく理解できていないと、間違った解答を選んでしまうことがあります。
読解力は、問題文や音声を誤解なく的確に把握するために非常に重要です、
IELTSの問題形式に慣れることで、リスニング力以外の能力も向上させていきましょう。
おすすめの教材
問題形式にあれる対策として、おすすめの教材は次の2つです。
- ケンブリッジ公式問題集
- コリンズの”Listening for IELTS”
ケンブリッジ公式問題集は、IELTSリスニングの本番形式に最も近いと言われています。
スクリプトが付いているので、模擬テストを行った後、スクリプトを確認しながら内容を振り返りましょう。
スクリプトに注釈があり、どの文章によって解答が導かれたのかも理解することができます。
IELTSリスニングでは、出題形式はほぼ決まっています。
ケンブリッジ問題集には、4つの模擬テストがついているので、問題数は十分です。
1度解いて終わりではなく、繰り返し問題を解くことで、間違いがない状態にすることが大事です。
コリンズの”Listening for IELTS”は、イギリス英語で構成されており、実際の設問形式に沿った内容となっています。
参考書を選ぶ際は、本番の形式に沿わないものや、イギリス・オーストラリアのアクセントで録音されていないものは避けましょう。
2. イギリスもしくはオーストラリア英語に慣れていない
IELTSのリスニングは、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのアクセントが録音されています。
日本の英語教育では、主にアメリカ英語が採用されているため、日本人にとっては聞きづらく感じることがあります。
アクセントは強くありませんが、表現や単語の違いで内容が理解できないこともあるので、対策を行いましょう。
イギリスアクセントの対策法
イギリス英語に慣れるためには、次のような方法で、実際に音声を聞き、耳を慣れさせることが効果的です。
- BBCのポッドキャストを聞く
- イギリス英語の音声を使用してディクテーションを行う
- ケンブリッジの公式問題集を解く
代表的な例
イギリス英語の表現を学ぶ方法として、アメリカ英語と比べて、何が違うかを調べることも非常に効果的です。
ここでは、代表的な表現の違いを紹介していきます。
意味 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
(ガス)コンロ | stove | cooker |
駐車場 | parking lot | car park |
カフェテリア | cafeteria | canteen |
ズボン | pants | trousers |
スニーカー | sneakers | trainers |
エレベーター | elevator | lift |
アパート | apartment | flat |
クローゼット | closet | wardrobe |
懐中電灯 | flashlight | torch |
トラック | truck | lorry |
曲がり角 | curve | bend |
表現 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
2週間 | a period of two weeks | fortnight |
好きなこと | my favorite thing | my cup of tea |
8855 | エイティエイト・エイティファイブ | ダブルエイト・ダブルファイブ |
「学ぶ」の過去形と過去完了形 | learned | learnt |
認識 | recognize | recognise |
イギリス特有のコロケーションやイディオムや、スペルや発音が違うものも使用されることもあるので、覚えておきましょう。
3. ひっかけ問題にひっかかってしまう
IELTSのリスニングでは、必ず受験者を惑わせる「ひっかけ問題」が出題されます。
ひっかけ問題では、次のような表現を使用して、前後の文章で違う内容を話すケースがよく見られます。
- Oh, no
- well…
- wait…
聞き取れた単語があったから、という理由で解答を選ぶと、不正解になることがあるので、注意しましょう。
パートごとの特徴
ひっかけ問題は、内容理解が求められるパート2とパート3で特に出題されやすいため、気を付けて聞きましょう。
反対に、パート1とパート4は穴埋め問題となっており、空欄の前後関係に気づければ解答できる問題も多いです。
穴埋めの単語が難しい、というケースは少ないので、パート1とパート4は確実にスコアを狙いましょう。
ひっかけ問題の対策
ひっかけ問題の対策で非常に重要なことは、次の点に意識して「音声を最後まで聞くこと」です。
- 言い直しをしているか
- 否定語が前文の内容を打ち消しているか
- 否定なのか、肯定なのか
- 発音の違い
発音が似ていても、意味が大きく変わるため、特に次のような音声の聞き分けはできるように練習しましょう。
- “would”とwouldn’t
- “can”と”cannot”
- “are”とaren’t
ひっかけ問題については、以下の記事でより詳しく紹介していますので、参考にしてください。
4. 語彙力不足・発音の間違った知識
リスニングが難しいと感じる最大の理由は、「語彙力が不足していること」です。
語彙力不足には、単純に単語を知らないだけではなく、次のようなパターンがあります。
- そもそも単語を知らない
- 単語は知っているが、正しい発音を覚えていない
単語を知らないことだけではなく、発音を覚えていなくても、単語が判別できず、問題の内容を理解できません。
語彙力不足の対策法
語彙力不足の対策は、「単語を覚えること」です。スペルや意味だけでなく、正しい発音も覚えましょう。
「見る」、「聞く」、「読む」、「書く」を行うことで、しっかりと記憶に定着させることが重要です。
参考書の選び方
リスニングの問題集を購入する場合は、必ずスクリプトが添付されているものを選びましょう。
音声を聞いた後にスクリプトを確認することで、どの単語が、なぜわからなかったかを明確にできます。
発音の違いを理解する
アメリカ英語とイギリス英語では、一部の単語、表現の発音が異なります。
Garage:倉庫
アメリカ英語では、「ガラージ」の”ラー”の部分にアクセントを置きます
イギリス英語では、「ガラージ」の”ガ”の部分にアクセントを置きます。
単語を覚える際は、アメリカ英語とイギリス英語の発音を同時に確認すると、実際の試験で聞き取りやすくなります。
インターネットなどで検索すると、簡単にチェックできますので、ぜひ活用してください。
アカデミック用語の重要性
パート3とパート4では、音声の内容がアカデミックになります。
パート3では、2人の生徒が研究テーマについて話し合う問題、パート4では、大学の講義内容がよく出題されます。
アカデミック用語の語彙を増やしておかないと、内容がわからず大幅に点数を落とすことになりかねません。
リスニングの頻出用語については、次の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
5. 根本的な基礎リスニング力不足
アクセントや語彙力に関わらず、英語の聞き取りが苦手な方は、リスニング力が不足している可能性があります。
特に、短い文章だと理解できても、文章が長くなると理解できなくなる方が多く見受けられます。
このような場合は、根本的なリスニング力の向上を図る必要があり、次のような学習方法が効果的です。
- ディクテーション
- リテンション
ディクテーション
ディクテーションとは、英文をある程度の長さで区切り、聞いた音声を書き取る練習のことです
ディクテーションを行うことで、英語を正確に聞き取る能力を向上させることができます。
リテンション
リテンションは、英文をある程度の長さで区切り、反復する練習のことです。
聞こえてきた英語の音声を記憶し、情報を処理する能力を向上させることができます。
まずは、短く内容の簡単な文章を用いて演習することで、着実にレベルアップを目指しましょう。
参考書なども、基本的な教材を用いることがおすすめです。
リテンションに慣れてくると、長い1文も記憶できるようになるので、継続することが重要です。
リテンションは、シャドーイングに比べて難易度が高いため、慣れるまでは大変ですが、リスニング力の向上には非常に効果的です。
リスニングのコツ
英語では、主語と動詞が最も大事なパーツになるため、まずは主語と動詞を聞き逃さないことを意識しましょう。
長い文章が続いたとしても、まずは文頭を理解するように心がけましょう。
主語と動詞の聞き取りに慣れてきたら、徐々に目的語や補語を聞き取れるように練習を重ねていきます。
リスニング力を向上させる方法については、次の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
6. IELTSリスニングが一番先(一番後)に実施されるため集中力が欠けてしまう
日本でのIELTS試験は、受験方法によってセクションの順番が異なるので注意しましょう。
- ペーパーテスト:リスニングは最後
- オンラインテスト:リスニングが最初
カナダでで受験する場合は、コンピューター、ペーパーのどちらの形式でも、リスニングのセクションから始まります。
試験の開始時間が早いと、気持ちを切り替えることができず、リスニングに集中できない可能性があります。
最後に受験する場合でも、試験疲れなどが原因で音声が頭に入らないなど、集中力は非常に重要な要素です。
集中力不足の対策法
リスニング試験で集中力を切らさないポイントは、以下のです。
- 聞く準備を万全にする
- 体調をしっかり整える
- 朝早い試験時間に慣れる
集中力は、体調に左右されやすいため、試験に臨む際は、体調をしっかりと整えましょう。
また、試験時間に慣れるために、試験日の2週間前くらいから、朝一でリスニングの勉強をするのも効果的です。
アクティブに音声を聞く
IELTSのリスニングでは頻繁にひっかけ問題が出題されるため、集中して聞く癖をつけることが非常に重要です。
音声を聞く際は、「何を言っているのか?」を理解するように意識して、アクティブに聞きましょう。
音声をながらバックグラウンドで流す「ながら聞き」に慣れてしまうと、注意力が散漫になり、集中して聞く癖がつきません。
アクティブリスニングのメリット
アクティブに音声を聞くことで、英語を聞くことに体力を使わなくなるというメリットがあります。
聞き取りに慣れるまでは、しっかりと聞かなければいけないので、疲れたり時間がかかったりしてしまいます。
しかし、徐々に英文のパターンや構造が身に付き、英文を聞いても疲れず、すんなり聞けるようになります。
まとめ
IELTSリスニングは、スピードが速いわけでも、アクセントが強いわけでもありません。
しかし、リスニングを難しく感じてしまう理由としては、次の6つの理由があります
① IELTSリスニングの問題形式に慣れていない
② イギリスもしくはオーストラリア英語に慣れていない
③ ひっかけ問題にひっかかってしまう
④ 語彙力不足・発音の間違った知識
⑤ 根本的な基礎リスニング力不足
⑥ IELTSリスニングが一番先(一番最後)に実施されるため集中力が欠けてしまう
リスニングの対策で重要なのは、継続して練習を重ねることです。慣れるまで時間はかかりますが、しっかりと対策を行い、リスニング力を強化しましょう。
リスニング強化対策を取り入れた