IELTSアカデミックのライティングタスク1は、グラフやマップを分析して説明する問題です。
データの分析能力も必要になりますが、どの時制で解答を記述するかも非常に重要です。
この記事では、タスク1における「時制」や「書き方のテンプレート」について紹介します。これらを知っておくことで、時間の短縮にもつながり、スコアアップの近道にもなります。
タスク1では時制に気を付ける
IELTSライティングタスク1のテーマは、大きく以下の3つに分かれます。
- 図表の解析
- 都市の移り変わり
- プロセスマップ
タスク1では、どのタイプの問題でも共通して「時制」に気を付けましょう。
タスク1で使用する時制
実は、タスク1で主に使われる時制は以下の4つのみです。
- 過去形
- 未来形(予想)
- 現在形
- 現在完了形
過去完了形や、未来完了形といった複雑な時制を使うことはめったにありません。
① 過去形を使う場合
以下のいずれかの場合は、解答は全て過去形で表し、過去完了形などは使用しません。
- 今を起点として過去の出来事を説明する
- 過去を起点として過去の出来事を説明する
- 「1999年」や」2018年」など、具体的に過去の年数が表されている
問題文に過去の年代が明記されていない場合には、現在完了形と組み合わせることができます。
ただし、具体的な年数が入っていると使用できないので、十分に注意しましょう。
例題
ここでは実際に、解答の時制がすべて過去形になる例と、現在完了形を使用できる例を紹介します。
例題1
The chart below shows the value of one country’s exports in various categories during 2015 and 2016.
この問題は、2015年と2016年の比較、つまり過去の事柄のみについて書くため、全て過去形で書きます。
例題2
The table below shows the numbers of visitors to Ashdown Museum during the year before and the year after it was refurbished. The charts show the result of surveys asking visitors how satisfied they were with their visit, during the same two periods Summarise the information by selecting and reporting the main features, and make comparisons where relevant.
訳)以下の図は、改装前後の年のアッシュダウン美術館の来館者数を表している。
表では、その時期の来館について、どう満足したかを来館者に調査した結果である。
主な特徴を選んでリポートし、比較しなさい。
この問題では、改装前の年代「the year before」と、改造後の年代「the year after」のどちらも過去形で示します。
問題文中で、来館者の満足度合が「how satisfied they were」と、過去形になっていることにも注目しましょう。
例題3
The two maps blow show an island before and after the construction of same tourist facilities.
この問題では、「全て過去形」もしくは「現在完了形」を使用できます。
問題には過去を表す年代の記載がないため、「after the construction」を「現在」と想定することができます。
比較する片方の年代が「現在」ととらえられる場合は、現在完了形を用いて回答しても構いません。
② 過去形&未来形(予想)を使う場合
IELTSライティングタスク1では、過去データの説明だけでなく、未来の傾向を予想する問題もよく出題されます。
この場合は、過去形と未来形のどちらも使われます。
未来形では、書き手の意志を表す「意志未来」ではなく、「予想」の要素を強く持ちますので、注意しましょう。
例題
The graph below gives information from a 2008 report about consumption of energy in the USA since 1980 with projections until 2030. Summarise the information by selecting and reporting the main features, and make comparisons where relevant.
訳)以下のグラフは2008年のアメリカでのエネルギー消費に関するレポートである。
レポートは、1980年における2030年までの計画も表している。
主な特徴を選んでリポートし、比較しなさい
この例題では、解答は以下のように構築します。
- 過去(1980年)から現在までの傾向を説明する場合は過去形
- 現在から未来(2030年)までの傾向を表す場合は未来予想
未来予想
「未来予想」は、過去のデータに基づいて未来を予想する場合に使用する時制です。
タスク1の図表解析では来予想の時制を使用する際は、以下の表現を内容に合わせて使い分けてみましょう。
未来予想の表現
- be going to
- will
- be estimated to
- be projected to
- be forecast to
- be set to
- be likely to
- be slated to
未来予想を使用した例題に対する解答例
The energy consumption started at 2500 kwh in 1980 and continued to and is projected to increase to 5000 kwh in 2030.
③ 現在形を使う場合
問題文の中に、具体的な年代が書かれていない場合は、現在形を使います。プロセスマップなどが挙げられます。
プロセスマップは、トマトが出荷される過程や、電力が作られる過程など、何かの工程を表す図のことです。
これらのプロセスは、今も昔も変わらず行われていることなので、必ず現在形で示します。
その他には、通年行われるもの、平均値などが表されている設問でも、現在形を使用しましょう。
例題
以下の例題は、通年行われるものについて表している問題です。
この表では、日付は書かれていますが、年代が書かれていないことに注目します。
したがって、ある一定の期間(10月7日から13日)の売上であると解釈し、現在形で表現しましょう。
問題文に使用されている「typical sales」という表現も、毎年の平均売上を示し、現在形を使う根拠になります。
④現在完了形を使う場合
都市や町の過去から現在への移り変わりを表す場合、現在完了形を使います。
現在完了形で解答する問題は、過去形を使う場合と混同しないように気を付けましょう。
過去から過去への移り変わりは過去形
過去から現在への移り変わりは現在完了形です
例題
以下の例題では、どちらの時制で解答するか考えてみましょう。
例題1
The plans below show a public park when it first opened in 1920 and the same park today. Summarise the information by selecting and reporting the main features, and make comparison where relevant.
訳)以下のプランは、公園が最初にオープンした1920年と現在を示している。
主な特徴を選んでリポートし、比較しなさい。
この問題では、同じ公園について、過去(1920年)から現在(today)の移り変わりを表しているので、現在完了形を用います。
解答例
A new parking lot has been built for visitors by car.
例題2
The table below shows the results of a 20-year study into why adults in the UK attend arts event. Summarise the information by selecting and reporting the main features, and make comparisons where relevant.
訳)以下の表は、イギリスの大人がアートイベントに参加する理由に関する20年間の調査結果を示している。
主な特徴を選んでリポートし、比較しなさい。
Reasons for attending the arts – UK adults (all numbers below are percentages)
20 years ago | 10 years ago | today | |
Desire to see specific performer/ artist | 58 | 55 | 56 |
Accompanying children | 9 | 15 | 24 |
Special occasion/ celebration | 27 | 20 | 9 |
Work/ business | 6 | 10 | 11 |
この問題では、過去形と現在完了形を組み合わせて解答します。
20年前から10年前の違いは過去形、20年前/10年前から現在までの違いは現在完了形を使って表します。
解答例
The percentage of people accompanying children has shown a significant increase, from 9% 20 years ago to just under a quarter today. As far as those who attended arts events because of special occasions or celebrations are concerned, the percentage fell slightly from 27% 20 years ago to 20% a decade ago, dropping dramatically to 9% today.
🚫過去完了・未来完了が使われない理由
完了形は、「完了」「結果」「経験」「継続」の意味を持つ時制です。
IELTSライティングのタスク1では、「事実を正確にリポートすること」が最も重要であるとされており、完了形の意味を表す必要はありません。
過去完了形
過去完了形は、過去のある時点より前に起こったことを伝える場合に使う時制ですが、IELTSは全て過去形で表すことが可能です。
過去完了形を使った例文
The suspect had run away before the police arrived.
この例文では、「警察が到着する前に、容疑者が既に逃げてしまった」という完了の意味を強調するために、過去完了形を使用しています。
「The suspect had run away」が「before the police arrived」という過去の時点よりもさらに過去の出来事を表すため、この時制を「大過去」とも呼びます。
未来完了形
未来完了形は、現在を起点にして、未来のある時点までに出来事が起こることが予想される場合に使う時制です。
未来完了形についても、IELTSのライティングにおいて特に求められている表現ではありません。
未来完了形を使った例文
We will have married for thirty years by 2040.
この例文では、未来のある時点(2040年)までに、ある行為(結婚して30年)が完了していることを表しています。
完了形が使用される例
タスク1では基本的に完了形は使用しませんが、「~までに」という意味のbyを使用した場合のみ、完了形が使われることがあります。
byを使用した例文
「~までに」という意味の「by」は、ほとんどの場合で完了形とともに使われるため、過去完了形や未来完了形が一緒に使われることがあります。
例文1:By 2007, the average oil price had more than doubled.
例文2:By 2020, the average oil price will have doubled.
byの代替表現
「by」の代わりに「until」を使うと、通常の過去形や未来形、もしくは現在形で表すことができるようになります。
例文1:Until 2007, the average oil price more than doubled.
例文2:Until 2030, the average oil will double.
ライティングの時制についてのまとめ
①IELTS アカデミック ライティングのタスク1で使う時制は主に4つ
過去形、現在形、未来形、現在完了形
過去完了形・未来完了形はbyが使われる場合のみに使用されるため、無理に使う必要はありません。
②図表やグラフに書かれている年代に注目して時制を使い分ける
時制がミックスされていることも多いので、注意
現在から見て過去の説明は過去形
過去から現在の移り変わりは現在完了形
現在から見て未来の傾向は未来形(未来予想)
ライティングは添削が効果的