IELTSのリーディングにおいて、多くの受験者の方が、時間が足りないことが1番の課題だと感じています。
この記事では、なぜ時間が足りなくなってしまうのか、原因は何かについて紹介していきます。
なぜ時間内に解けないのか
IELTSアカデミックのリーディングでは、2ページ弱の長文が3つ、設問が40問あり、これを60分で解く必要があります。
時間が足りなくなる原因として比較的多いものが、次の5つです。
- 文法力や語彙力の不足により読むのに時間がかかる
- 問題文の意味が理解できない
- 問題を先に読んでしまう
- 最初から本文を精読してしまう
- 内容がわからない箇所を何度も読み返してしまう
文法力や語彙力の不足により読むのに時間がかかる
文法力や語彙力が不足していると、本文や問題文の内容が読み取れないため、時間をロスする原因になります。
問題を解いてわからなかった表現や単語は、ノートに書き出して復習するなど、記憶に定着させましょう。
また、文法はリーディングだけでなく他のセクションでも重要なので、不安がある方はおさらいすることがおすすめです。
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問題文の意味が理解できない
これは比較的多いケースで、問題文の意味を理解できないまま本文を読むと、キーワード探しに時間がかかります。
また、本文の内容がわかっていても、問題文の意味を読み違えてしまうとスコアを獲得できません。
まずは「問題で聞かれていること」をしっかりと把握し、どのような情報が必要なのかを理解しましょう。
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模試などで練習を行い、IELTS特有の出題形式に慣れておくことが重要です。
問題を先に読んでしまう
アカデミックのリーディングは、ジェネラルと異なり、本文の流れと設問番号が一致していません。
そのため、問題文を先に読んでから本文を関連する箇所を探そうとしても、時間がかかってしまいます。
また、設問も多く、すべて覚えることが難しいので、まずは本文の内容を大まかに把握してから設問に移りましょう。
最初から本文を精読してしまう
最初から本文を精読してしまうと、本文を何度も繰り返し読むことになるため、時間がかかってしまいます。
IELTSアカデミックのリーディングでは、最初からすべてのパラグラフの隅々まで精読する必要ありません。
本文を読む際は、「どこに何が書かれているか?」に注目し、大まかな話の発展を理解することに集中しましょう。
内容が把握できた後は、問題に素早く移り、関連する箇所を予測し、その部分を精読して解答を見つけ出します。
内容がわからない箇所を何度も読み返してしまう
長文を読む際に、わからない箇所を何度も読み直してしまうと、時間がかかるだけでなく、内容が抜けてしまうことにもつながります。
文章は単語単位ではなく、塊で読むようにしましょう。大体の流れを把握することができます。
時間内に解答するコツ
IELTSリーディングでは、内容をスキミングして大まかに読み取る速読力と読解力が必要になります。
しかし、これらの力を養うには時間がかかってしまいます。
ここでは、その他に時間の短縮につながる解き方やコツを紹介していきます。
- IELTSのリーディングは「読書」ではなく「情報を探す」こと
- 捨てる問題と拾う問題に分ける
- IELTSの言い換えパターンを見抜く
- わからない単語に惑わされない
- キーワードや要点に下線や印をつける
コツ1:IELTSのリーディングは「読書」ではなく「情報を探す」こと
IELTSリーディングを攻略するためには、必ず最初に本文をざっと読むことが大事です。
本文のどこに、何が書いてあるのかを意識しながらパッセージの発展を把握していきましょう。
先に設問を読んでから本文に移ると、どこに解答があるのかを探すのに時間がかかりすぎてしまいます。
スキミングとスキャニング
IELTSのリーディングでは、本文を大まかに読むスキミングとスキャニングのテクニックがあると非常に有利です。
英文を読む際は、「早く読むこと」ではなく、「段落の内容を的確に把握すること」に発想を切り替えましょう。
そのためにも、スキミングは身に着けておきたい技術です。以下の記事で、より詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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情報を探す
IELTSのリーディング問題では、文章を読むことよりも、文章から必要な情報を抜き取ることが重要です。
あくまで「読書」ではなく、制限時間で解答を導く「試験」なので、丁寧に読むのではなく、段落や設問を大まかに読み取りながら、キーワードを探していきましょう。
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例えば、Wikipediaを読んで情報を得ることを読書と思う人がいないように、必要な情報だけを探し、他の文章は飛ばして読むことが大切です。
まずは、段落の最初の文章(トピックセンテンス)をさっと読みましょう。
トピックセンテンスを読むことで、文章のテーマや展開を想像することができます。
次に、段落の最後の文(コンクリューディングセンテンス)を読みます。
ここでは、作者が最も主張したいことが書かれているため、文章がどのように発展するかを把握できます。
コツ2:捨てる問題と拾う問題に分ける
IELTSのリーディングでは、解けない問題を潔く、きっぱりと諦めることも大切なテクニックです。
試験では、40問の設問を60分で解く必要があるので、単純計算で1問あたり1分30秒しか解答時間がありません。
各パッセージごとに本文を読む時間が7~8分あると考えると、さらに短くなり、約1分ほどになります。
タイムマネジメントを行う
パッセージによって本文や設問の難易度が異なるため、簡単に解ける問題と時間のかかる問題があります。
難しい問題でつまずいてしまうと、時間が足りなくなり、解ける問題も解けなくなってしまいます。
時間をかける問題と時間をかけない問題を見分け、タイムマネジメントを行っていきましょう。
- 確実に解けるもの(時間をかければ確実に正解できるもの)
- 段落のどこかに書いてあったと思い出せるもの
- 簡単に解けるもの
- 時間がかかりすぎる(2分以上)ため、捨てる必要があるもの
また、普段から時間を気にして練習問題に取り組むことで、タイムマネジメント力を鍛えることができます。
最初は長めに時間を取り、徐々に時間を短くしていきながら、実際の試験に近づけていくことがおすすめです。
コツ3:IELTSの言い換えパターンを見抜く
IELTSリーディングでは、本文と設問で言い換えが行われることが非常に多いため、見逃さないことが大切です。
「設問で使われている単語をそのまま探し、解答が見つけられなかった」ということがないよう気を付けましょう。
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問題を解いた後に、間違えた問題を中心に、言い換え表現をリストアップしていくのも、非常に効果的な復習法のひとつです。
言い換えのパターンとしては、以下の8つがあり、単独で使われることも、組み合わせて使われることもあります。
- 単語レベルの言い換え(同義語)
- 単語→熟語の言い換え
- 章レベルの言い換え
- 主語が違う
- 受動態→能動態の言い換え
- 助動詞→副詞や他の表現での言い換え
- 主語と目的語が入れ替わる
- 関係代名詞や分詞+名詞→所有格代名詞
単語レベルの言い換え(同義語)
単語レベルの言い換えは、大きく以下の2つに分類することができます。
- 一般的に同義語として認識されているもの(類語辞典を引くと出てくるもの)
- 特定のシチュエーションだけで同義語と言えるもの(類語辞典には出てこないもの)
例)increase → rise, raise, enhance, improveなど
例)take part in a test → complete a test
ここでは、どちらも「試験を受ける」という意味ですが、これらは一般的に同意語と認識されていません。
- take part in:参加する
- complete:何かを終わらせる
単語→熟語の言い換え
単語を文章にして言い換えるケースは、英英辞書のように、単語を説明する文章で置き換えられます。
例)dispose → put into waste bins など
文章レベルの言い換え
文章レベルの言い換えでは、同じ意味ではあるものの、動詞が変わっているケースなどが多いです。
例)He increased confidence → He had more confidence など
主語が違う
同じ内容の文章を、主語と目的語を入れ替えているケースです。
例)He increased confidence → This project helped him increase confidence など
受動態→能動態の言い換え
主語を入れ替え、能動態の文章を受動態にして言い換えているケースです。
例)He increased confidence → Confidence was increased by him など
助動詞→副詞や他の表現での言い換え
助動詞や副詞を変えることで、同じ内容かどうかが判断しづらくなりますので注意しましょう。
例)He might have increased confidence → He probably increased confidence
例)you should have breaks → make sure you have breaks など
主語と目的語が入れ替わる
主語と目的語を入れ替え、対になる言葉を使用して言い換えられる場合があります。
例)cause ⇔ result from, give ⇔ receive
The accident resulted from careless driving.(その事故は不注意な運転により起こった)
⇔ Careless driving caused the accident.(不注意な運転がその事故を引き起こした)
関係代名詞や分詞+名詞→所有格代名詞
関係代名詞で修飾された名詞を、所有格で修飾しているパターンです。
例)qualifications that you have→your qualifications
コツ4:わからない単語に惑わされない
IELTSリーディングでは、わからない単語があった時に、つまずいてしまうと時間のロスにつながります。
単語がわからなくても、文脈から予測し解答を導けることもあるので、立ち止まらないよう気を付けましょう。
本文にある単語がわからないとき
本文中にわからない単語があった場合は、わかる部分だけを繋げて、文章の意味を推測する必要があります。
単語の前後から意味を推測、もしくはその単語を無視して、全体像を見失わないように読み進めることが重要です。
タイトルやサブタイトル、トピックセンテンスから得た情報を最大限に活用しましょう。
問題文にある単語がわからないとき
問題文(設問や選択肢)にわからない単語があった場合も、本文と同様で、わかる部分から意味を推測します。
必ず復習する
リーディングの試験対策では、復習を行うことは非常に重要です。
わからなかった単語は、必ず辞書で調べ、発音と一緒に単語ノートに書き留め、語彙力を強化しましょう。
IELTSの場合、出てくる単語は知っている、という前提で試験が作られるため、単語を覚えることが大切です。
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特に、その単語が問題を解くカギになっている場合や、わからないと絶対に問題が解けない場合には、必ず書き記しましょう。
コツ5:キーワードや要点に下線や印をつける
IELTSリーディングでは、本文にも設問にも、解答につながる重要なキーワードが隠されています。
最初に本文を読む時に、重要な語句に下線を引く、人や場所、年号などにチェックを入れることで、素早く情報を見つけられるようにしておきましょう。
本文を早く読みすぎて情報を特定できない時は、時間をかけて読み、段落の脇にメモすることもテクニックです。
まとめ
IELTSのリーディングでは、時間内に解くコツをつかんで、時間内に解く必要があります。ここで紹介した、時間を短縮する解き方を活用して、時間切れを防ぎましょう。
・IELTSのリーディングは「読書」ではなく「情報を探す」こと
・捨てる問題と拾う問題を把握する
・IELTSの言い換えのパターンを見抜く
・わからない単語に惑わされない
・キーワードに線を引く
オンラインIELTS対策なら
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