意外と知らない完了不定詞

完了不定詞とは

完了不定詞とはto不定詞の後の動詞が過去に起こったことを伝える表現で、
< to + have + p.p (過去分詞形) >の形を取ります。
完了不定詞は口語では頻繁には使われませんが、文語ではよく使われます。 

to不定詞では、 to の後に動詞の原形が続きますが、述語動詞の時制よりも前のことを表すために、to の後に現在完了の <have+動詞の過去分詞> を用いて表すのが「完了不定詞」です。

完了不定詞を使う2つのパターン

①述部の動詞が現在形 ・・・ to不定詞の後が過去のことを表す場合
 She seems to have caught a bad cold.
 彼女はひどい風邪をひいたようです
 ➡述部動詞は現在形ですが、風邪をひいたのは過去のことです。

②述部の動詞が過去形 ・・・ to不定詞(have to) の後がそれよりも古い内容を表す場合
 I had to have taken an umbrella.
 私は傘を持って行かなければならなかった。
 ➡傘を持っていくという行為が気づいた時(had to)よりも古い時制(大過去)になっています。
  ”It had to be that I had taken an umbrella” に書き換えることできます。

完了不定詞と通常の不定詞の違い

  • Someone has to do this.
    誰かがこれをしなければならない。(誰かがこれからする)
     to以下は主節の時制と「同じ」かそれよりも「未来」の内容
  • Someone has to have done this.
    誰かがこれをしてしまわなければならない。(誰かがしてしまった)
     to以下は主節の時制よりも「古い」内容

【希望・意図】+to have p.p (過去分詞形)
完了不定詞(to have p.p 過去分詞形)を使うと主節の時制より1つ前の時制を表しますが、
主節の動詞が「希望・意図」を表す場合、「~したかったけどできなかった」という後悔を示します。

  • I wanted to have finished my homework.
    「私は宿題を終わらせたことを望んだ」が直訳ですが、
    「私は宿題をおわらせたかったのだが……..」できなかったという意味を表します。
  • He expected to have left on Monday, but was prevented from doing so.
    月曜日に出かけられると思っていたが、(何かの都合で)出かけられなかった。

英語は日本語よりも「時間」にこだわりを持つ言語だと認識しましょう。

日本語では、会話文(英語で言うところの” ”で表す文)以外でも、最後の例文のように現在形と過去形の組み合わせを用いることがありますが、英語では「時制の一致」という言葉があるように、一つ一つの文の時間軸を非常に大切にします。

 He expected to have left on Monday, but was prevented from doing so.
(月曜日に出かけられる思っていたが、出かけられなかった。

「出かける」ことは過去の一点よりも過去のこと。

大過去・ 完了不定詞や、現在完了といった、一つの文法の中で過去と過去、過去と現在のようにいくつかの時点を意識した時制の理解のためには、慣れないうちは図示することも効果的です。

言語を文字だけでなく、イメージでとらえることも、理解の手助けになります。

まとめ

完了不定詞とは 「 to have + p.p 」<to 不定詞の動詞が過去のことを表す>

大過去・完了不定詞を始めとした「時制」に関する考え方は、つまづきやすいかもしませんが、英語では時制の概念を非常に明白に表します。英語は、日本語と違い、聞き手に与える情報が過去の事柄なのか、過去の過去に起こったことなのか(大過去)、今も続いていることなのか(現在完了)、を表すことができる便利な言語と言えるでしょう。

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