倒置構文 1.【強調のための倒置】

倒置構文とは?

英語は通常「主語(S)+動詞(V)」という構成が基本ですが、これが「動詞(V)+主語(S)」と語順が変わった構文を倒置構文と呼びます。もし通常の構文が「主語(S)+助動詞+動詞(V)」の場合、倒置はどのように起こるのでしょうか。

倒置構文 「助動詞+主語(S)+動詞(V)」という形になります。では、倒置がなぜ起こるかというと、理由は2つあります。

  • 「強調のための倒置」
  • 「文法構造上の倒置」

今回は「強調のための倒置」について解説いたします。

感嘆文の場合


一番身近な倒置は、「なんて~なんだろう!」と感動を表す感嘆文で起こります。
感嘆文は、典型的な倒置の形といえます。

What a nice bag you have!
(なんてすばらしいカバンを君は持っているんだ!)

上記例文の通り、a nice bag が本来の位置から前に引き出されていますね。
元の文章は ”You have a nice bag.”
本来文中に埋もれている要素を、配置転換することで感動の気持ちを強調する形となります。

感嘆文は日常会話でもよく使うので、マスターしておきましょう。

否定の意味を持つ要素が文頭にくる場合

「否定の意味を持つ要素」とは否定の副詞が代表的ですが、その用語が文頭に来た場合に倒置が起こります。

・通常文: I have never seen such horrible behavior.
・倒置構文: Never have I seen such horrible behavior.
(こんな酷い態度は見たことがない)

否定語句(この場合はNever)を文頭に持ってくることで、否定的な感情を強調することができます。
否定的な語句の代表は、①never、②hardly /seldom / rarely、③little など挙げられます。否定的なことには感情移入がしやすいため、倒置を伴うコンビネーションが頻繁に利用されます。

方向や運動が文頭にくる場合

物語などでよく使われている倒置です。この場合は、主語が名詞の場合に限られます。
早速、例文を見ていきましょう。

Here/Thereなど場所や方向が文頭にくる場合

Here comes the bus! (バスが来たよ!)
There comes the rain. (雨が降ってきた。)

Go/Down/Upなど動詞が運動を表す語彙が文頭にくる場合

Up went the balloon. (風船は上がっていった。)
Down came the rain. (雨がザーッと降ってきた。)

文語的な倒置法ですが、日常会話の中でもちらほら使用します。目にすることは多いので知っていると役に立つでしょう。

位置や場所が文頭にくる場合

この倒置は強調のために場所などを示す副詞語句を文頭に出します。そのほか倒置によって文全体の流れやリズムを良くする働きがあります。以下2通りの例をご覧ください。

In front of the forest was an open field covered with snow.
(森の前面には雪で覆われた野原が開けていた。)
At the top of the hill stood the tiny house.
(丘の上にそのとても小さな家が建っていた。)

このように動詞(V)がbe動詞、またはstand/lie/sit/hangなどの動詞が続く場合に倒置が起こりやすいと言えます。副詞語句を文頭に持ってきて、位置や場所を強調するだけでなく、文全体の流れやリズムを良くする働きもあります。

程度を示す副詞が文頭にくる場合

程度を示すso, well, often などの副詞が倒置が起こすパターンです。

So shocked were that they stopped talking.
(彼らはとてもショックを受けたので話すことを止めた。)
Well do I remember the day when I first came to Canada.
(カナダに初めて来た日のことを、私はとてもよく覚えています。)


特に、程度を示すso~thatやsuch~that構文で、倒置が頻繁に使用されます。

補語になる形容詞が文頭にくる場合

主語(S)+動詞(V)+補語(C)の文や、主語が長い場合に強調もしくはリズムを取るために補語の形容詞が文頭に置かれることがあります。今までの副詞語句とは違い形容詞が前に来るパターンです。

Available is a sing bedroom.
(シングルのベッドルームが利用できます。)
Heavy is the burden of responsibility that has lain upon him without a break for years.
(長年彼に絶えずのしかかっていた責任の負担は実に重い。)

目的語が文頭にくる場合

厳密な意味での倒置とは言えませんが、下記の3つの場合に倒置が起こります。

  • 前文や節とのつながりを示す時
  • 他の名詞との対照を示す時
  • 長い修飾語句などが付いた場合

 The next three hours he spent thinking over the lecture he was to deliver that evening.
(その後の3時間は、その夜予定されていた講演の構想を練るのに過ごした。)

② The hot weather I don’t mind, but the cold weather I can’t stand.
(暑い天気は平気ですが、寒い天気は耐えられません。)

③ Much of what children learn at school they forget in later life.
(学校で習う事の多くは、その後の生活で忘れてしまうものだ。)

このように目的語が文頭に来る場合もありますが、主語(S)+動詞(V)の語順は変わりませんので注意が必要です。

まとめ

  • 否定的な副詞句が文頭にくると倒置が起こる
  • 方向や運動、位置や場所の副詞句が文頭に来ると倒置が起こる
  • 程度の副詞が文頭にくると倒置が起こる
  • 補語、目的語の形容詞が文頭にくると倒置を起こる

すべての倒置構文に言えることですが、倒置の構図が分かりづらい場合は、文を元の形に戻すと分かりやすくなります。倒置の知識は、高度な英文の読み書きに繋がるので、英語力向上のためにも理解を深めておくのが良いでしょう。倒置構文 2.【文法構造上の倒置】も参照ください。

Metropolitan Academy of English

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