Part 1: that節編
文法を勉強していく上で必ずぶつかる、that節と関係代名詞that。避けて通れないが故に、「何が違うの?」という質問も多く頂きます。今回は、that節についてお話をしていきます。
そもそもthat節とは何を示すのでしょうか?これは厳密に言うと、「名詞節を導く従属接続詞」=文(主語と動詞を持つ)が名詞の役割を果たすものを示すものとなります。簡単な例文で見てみましょう。
I know Kevin.
( 私はケビンを知っている。)
上記の文で名詞はKevinですね。これをthat節を使って表現した場合
I know that he is Kevin
( 私は彼がケビンであることを知っている。)
という文になり、that節を利用することで文の情報を増やすことが出来ました。
that節は上手く使うことで、より内容が濃い文章を作れることが特徴です。
それでは早速、that節の用法を見ていきましょう。
(1) 目的語を表す
that節の最も典型的な用法は、動詞の目的語として使われる場合です。
2つの例文を取り上げ、一緒に見てみましょう。
I heard that Karen moved to Canada.
( カレンがカナダに引っ越したと聞いた。)
She said that the goal is to make the product lighter.
( 目標は製品を軽くすることだと彼女は言った。)
that節は①のように思考や認識を表す動詞や、②のように伝達・要求の動詞を表す動詞に使われることが多いことも特徴です。以下that節をよく取る動詞の一例となります。
believe (信じる) | hear (耳にする) | note (注目する) |
say (述べる) | suggest (提案する) | tell (話す) |
hope (願う) | know (知る) | think / suppose (思う) |
inform (告げる) | realize (分かる) | understand (理解する) |
(2) 主語補語を表す
that節は、主語を説明する要素(補語)として使われる場合も見られます。
言葉だけでは理解が難しいので、例文を見て解説していきます。
What surprised me most was that he didn’t seem to have a passport.
( 最も驚いたことは、彼がパスポートを持っていないことだった。)
「主語補語を表す」というのは言葉の通り、「彼がパスポートを持っていないこと」が、話者が驚いたことを説明する文となっています。主語を説明する文もthat節で表現をすることが出来ます。
(3) 主語を表す
先ほどは主語補語を表すthat節を説明しましたが、主語としても使われることがあります。
早速、例文を見ていきましょう。
That we get a culture shock when we go from on country to another, is a fact.
(ある国から他国へ行くとカルチャーショックを受けるのは事実だ。)
このように主語にthat節が来た場合、文頭が長くなりバランスがとても悪く見えてしまいます。
これを避けるために、形式主語Itを使い、that節を後ろに持ってきてしまうパターンが多く見られます。
上記の文を形式主語Itを使った場合、どのように書き換えられるでしょうか。
It is a fact that we get a culture shock when we go from one country to another.
(ある国から他国へ行くとカルチャーショックを受けるのは事実だ。)
この形の構文は頻繁に見かけるので、馴染みがある人もとても多いかと思います。
That節が主語に来て頭でっかちになっている場合は、形式主語It構文に書き換えてみましょう。
(4) 同格を表す
that節は、名詞と同格の関係としても使うことが出来ます。これも例文で解説していきましょう。
I’ve got a hunch that I’ll pass this test.
(合格できそうな予感がします。)
まず「同格の関係」とは、2つ以上の名詞もしくは名詞相当語句が並び、後ろの要素が前の要素を説明する関係を示します。
今回の場合「予感がする(got a hunch)」と「合格できそう(that以下の文)」が同格の関係となっているため、that節を利用して表現しています。
(5) 形容詞と共に使う
「(3) 主語を表す」で説明をした、It is構文がまずは当てはまりますね。
まずは例文を見てみましょう。
It is unfortunate that Ken isn’t here.
(ケンがここにいないのは残念です。)
これは「It+be動詞+形容詞+that節」構文となり、「that節以下のことが<形容詞>である」ことを意味しています。また通常通り、主語が文頭にくる場合もありますので、併せて例文を見て覚えましょう。
I am afraid that it will rain.
(雨が降るのではないかと心配です。)
この文ではbe動詞の後ろに、気持ちを示す形容詞が来ていますね。I’m sorry that~ / I’m glad that~ も同じように使うことが出来ます。これは「主語+be動詞+形容詞+that節」構文となり、「主語はthat節以下の内容に<形容詞>である」という表現をしています。
補足情報になりますが、「It+動詞+that節」として使われることもあるので、例文で紹介いたします。
It seems that he is sleepy.
(彼は眠そうだ。)
上記の例文のようにItの後に、seem / appear / look / happenが続き、that節を取る使い方もあります。
このパターンもリーディングセクションでよく見るので、覚えておいて損はありませんよ。
ここまでは用法を紹介していきましたが、次はthat節の疑問に迫っていきます。
that節の落とし穴
疑問①: thatは省略できる?
that節を利用する際、thatは省略されることがあります。文のバランスなども考えて省略されることも多いですが、thatが省略されていても文法的には問題がなく、意味も同じです。
「意味も変わらず文法的にも問題ない」と聞くと「thatの省略はどのように分かるのか?」という疑問も出てきますよね。この疑問の回答は1つ、「文の構造を理解する」ことが大切です。これは、that節の文は構造がそのまま保たれるので、文構造を見極めることが出来れば確実にthatが省略されていることに気付くことが出来ます。
また補語に使われるthat節「(2) 主語補語を表す」のthatが省略される場合は、コンマ(,)が挿入されthatが省略されることがありますので、頭の片隅に入れておきましょう。
疑問②: thatとwhatの違いは?
that節とよく一緒に間違えられるものに、関係代名詞whatがあります。
綴りは2単語とも似ていますが、全く別の働きをするのできちんとここで理解をしましょう。
以下例文を見て下さい。
①She believes that Kevin told her the truth.
(ケビンが真実を言ったと彼女は信じている。)
②She believes what Kevin told her.
(ケビンが彼女に言ったことを彼女は信じている。)
① Kevin told her the truth (ケビンが真実を言った)は、これ自体が文として成立しています。
よってこのthatは、She believesの「(1) 目的語を表す」ものとして使われていることが分かります。
一方② whatにはthat節のような役割はなく、whatは「~するもの・事」の意味を持つ関係代名詞となります。
関係代名詞は接続の機能があるため、位置が末尾から節の先頭に移動してきたことで文が完成しました。
that節は複雑で、一度に全てを理解することはとても難しい内容になっています。
別のブログ記事で「thatの様々な用法と見分け方」という他の用法などを紹介しているので目を通しておきましょう。
まとめ
that 節のthat のポイント
- that節は厳密に言うと「名詞節を導く接続詞」
- that節は目的語を表したり、主語補助や同格として使われる
- that節は省略されることが多く、見極めるには文の構造をきちんと理解する
- that節は関係代名詞whatや、関係代名詞thatと区別がされる
楽しく効率よく学ぶ!