IELTSスピーキングの試験は、個室で、1対1の面接形式で行われ、試験時間は、1人あたり14分と短いです。
試験官は、短い試験時間の中で、どのような基準で採点しているのでしょうか。
この記事では、IELTSスピーキングの採点基準について解析し、紹介していきます。
IELTSスピーキングの試験官
IELTSのスピーキング試験は、コンピューター形式でも、ペーパー形式でも、試験官と1対1の面接形式で行われます。
スピーキング試験は、必ず個室で行われるため、大勢の人の前で話す必要はありません。
スコアは試験官が判定する
スピーキングのスコアは、試験を担当した試験官が、その場で判定します。
試験は、レコーディングされていますが、あくまで、試験官を監視するためのものであり、再採点の必要がある場合などを除き、録音を聞き直すことはないと言われています。
IELTSスピーキング試験官ってだれ?
IELTSスピーキングの試験官は、IELTSの母体から派遣された方ではなく、IELTSスピーキング試験官として、現地で採用された方です。
試験官は、大半がネイティブスピーカーで、日本在住のアメリカ人や、カナダ人が試験官に任命され、一定の地域を受け持っています。
カナダ国内からの受験では、アクセントを持ったインド人や、中国人など、ネイティブではない試験官も、見かけるようになりました。
日本では、試験を何回か受けていると、同じ試験官に当たることもあるそうです。
基本的に、同じ試験官が担当することは禁止されており、その場で試験官の変更を要請することもできます。
スピーキング試験官のスコアを決め方
実は、IELTSスピーキングには、厳格な採点基準があります。
試験官は、その基準に沿ってスコアを採点するよう、厳しいトレーニングを受け、しっかりと管理されています。
そのため、スピーキング試験でスコアを獲得するためには、採点基準に沿った解答を行う必要があります。
IELTSスピーキングの採点基準は、以下の4つです。
- 流暢さと一貫性(Fluency and Coherence)
- 語彙力(Lexical Resources)
- 文法と文法の複雑さ(Grammatical Range and Accuracy)
- 発音(Pronunciation)
採点基準の詳細
1.流暢さと一貫性(最重要)
採点基準の中で、最も重要視されるものが、「流暢さ」です。
流暢さは、「コミュニケーション能力」とも言い換えられます。
流暢さとは
流暢さとは、言葉通り、「流暢に英語が話せるか」、ということです。
これは、沈黙がなく、途切れず、ある一定の長さで話せることを指します。考える時間が長く、沈黙が続いたり、答えが短すぎたりすると、スコアが伸びないと言われています。
「流暢さ」=「スピード」ではない」
「流暢さ」と、「話すスピード」は、全く異なるので、気をつけましょう。
話すスピードが速すぎると、試験官が解答の内容を理解できず、減点につながることもあります。
反対に、話す速度がゆっくりでも、適切な内容を解答できている方が、スコア獲得につながります。
一貫性とは
一貫性は、論理性とも言われ、解答が、論理的に展開されているか、ということです。
これは、聞かれたことに対して、具体的で、わかりやすく解答しているか、を評価されます。具体例や以下に紹介するディスコードマーカーを使用して、論理的に解答を組み立てましょう。
ディスコードマーカー(discourse markers)を使用する
IELTSスピーキングの、スコア6.0の採点基準には、次のような内容も含まれています。
“uses a range of connectives and discourse markers but not always appropriately”
これは、接続詞などを使い、長い文章を話せているか、使い方が正しく、適切であるかを、評価しています。
接続詞(接続副詞)は、ディスコマーカー(discourse markers)と呼ばれ、例としては下記のようなものがあります。
however(しかし)
nonetheless(それにもかかわらず)
yet(しかし)
still(それでも)
moreover(さらに)
furthermore(さらに)
in addition(加えて)
ディスコマーカーを効果的に使えると、話の流れが分かりやすくなり、論理一貫性の評価が上がります。以下の記事で、より詳しくディスコースマーカ―について紹介しているので、参考にしてください。
文法や単語にとらわれすぎない
スピーキング試験は、他のセクションに比べ、点数が取りやすいセクションです。
まずは、きちんと質問の内容を理解し、適切に解答することに専念しましょう。難しいアカデミック用語や、関係代名詞などを使用した、複雑な文法を使う必要はありません。
文法の間違いがあった場合や、語彙力が足りていなかった場合でも、ある程度、適切な解答ができていれば、スコア6.0までは、簡単に取得できると言われています。
ただし、コミュニケーションの妨げとなる、発音や文法の間違いは、減点対象になるので、気を付けましょう。
カジュアルに話す
IELTSの試験は、日常生活でコミュニケーション力を図る試験なので、カジュアルに解答しましょう。
普段から、難しい表現を使わず、どのような質問にも、即座に、途切れなく解答する練習を行うことが重要です。
2.語彙力(それほど重要でない)
語彙力は、アカデミックな単語やイディオムを使用できているか、について問われます。
語彙力は、あればあるほどプラスですが、ある程度、カジュアルな日常英会話ができていれば、スコアは獲得できます。
ただし、基本的な単語は必要ですので、言葉に詰まる方は、アウトプットの練習を行いましょう。
パートごとの語彙力の重要性
パート1では、日常的で身近な話題が多いので、難しい単語や表現は必要ありません。
一方で、パート3では。与えられる課題が難しいため、高得点を目指す方は、課題に対する知識や、語彙力があると、有利です。
パート3で頻出の、環境問題、社会問題、テクノロジー、ソーシャルネットワークなどの、トピック別単語を学習し、試験で使えるよう、練習しましょう。
3.文法と文法の複雑さ(それほど重要でない)
文法は、複雑な文章構造を使用してるか、文法的に正しい文かどうかが判断されます。
複雑な文章構造とは、関係代名詞などを使い、複数の文や要素が組み合わさった文のことです。
長く複雑な文章を使用できる方が好ましいですが、スコア6.0を目指す方であれば、そこまで、複雑な文章を解答する必要はありません。
致命的な文法間違いをしない
単純な文法ミスは問題ありませんが、コミュニケーションの妨げになる、致命的な文法間違いには注意しましょう。
また、以下のような、単文ばかりの文章も、話の内容がわかりづらく、避けた方が良いです。
I went to the park. It is close to my home. It is big. There are lot of people.
この文章に、when, while, and などを使うと、内容がわかりやすくなります。
I went to the big park close to my home and there are lot of people there.
このように、わかりやすく話すことを、英国圏では effective speaking と言います。
4.発音(それほど重要でない)
発音の採点基準は、受験者の話していることが、理解できる発音であれば、問題ありません。
単語のアクセントが間違っていると、ネイティブには伝わらないこともあります。単語を学習する際は、意味とスペルだけでなく、発音も覚えることを意識しましょう。
また、はっきりと、明瞭に発音することも大事です。enunciation と言います。
文章に抑揚をつける
文章に抑揚(強弱)をつける、つまり、イントネーションをつけることも、わかりやすく、明瞭に話すことにつながります。
イントネーションがなく、早く話されると、試験官が理解できないこともあるので、気を付けましょう。
発生に気を付ける
話すときの声の大きさは、大きすぎず、小さすぎず、を意識しましょう。
緊張していると、声が小さくなりやすいので、少し大きめに話すぐらいを意識しましょう。普段から、鏡の前で発声練習をすることも効果的です。
まとめ
IELTSスピーキングの試験官は、厳密に決められた採点基準に沿って、その場で採点します。
4つの採点基準で、最も大事な点は、流暢さと一貫性です。
ポイントを抑えた練習で、効率的にスキルを伸ばし、いち早く目標スコアに達成しましょう。
スコア6.0を取れるようになると、その他の採点基準を強化することで、さらに高得点が狙えます。
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