IELTSスピーキングは、試験官との一対一の面接形式で行われます。
実際のテストでは、緊張してしまったり、思うように実力を出せなかったするため、日頃から練習を行い、当日の試験で実力を出せるように整えることが肝心です。
この記事では、スピーキング力が向上する練習方法をご紹介いたします。
IELTSスピーキングの採点基準を把握する
スピーキングテストの採点基準を理解することは、非常に大切なステップです。
基準を把握しておくことで、スピーキングの対策を始める前に、スコアアップには何が必要なのかを理解し、対策を講じることができるからです。
採点基準の項目は4つあり、25%ずつ配分されています。
【IELTSスピーキングの4つの採点基準】
の広さ
逆に採点に関係ないのは以下の項目です。
※自分の意見に対する論理的な説明は、必要とされるので注意しましょう
専門的知識
スピーキングで話す内容は、採点には関係ないですが、時事問題に詳しいと採点官からの質問に対する理解力が増し、何を引き出したいのかの意図が読み取れるので、プラスです。取り上げる時事問題は、プラスになってもマイナスにはならない、社会問題、話題になっているニュース、今のトレンドなどがおすすめです。
IELTSスピーキングテストにおける日本人の平均点は、「スピーキング6.0」です。
スピーキングテストでスピーキング6.0を獲得するための評価基準は以下の表の通りです。
定義 | 流暢さと一貫性 | 語彙力 | 文法 | 発音 |
---|---|---|---|---|
定義 | – is willing to speak at length, though may lose coherence at times due to occasional repetition, self-correction or hesitation – uses a range of connectives and discourse markers but not always appropriately | – has a wide enough vocabulary to discuss topics at length and make meaning clear in spite of inappropriacies – generally paraphrases successfully | – uses a mix of simple and complex structures, but with limited flexibility – may make frequent mistakes with complex structures, though these rarely cause comprehension problems | – shows some effective use of features but this is not sustained – can generally be understood throughout, though mispronunciation of individual words or sounds reduces clarity at times |
日本語訳 | – 一定の長さを持って話すことができるが、繰返しや自己訂正、躊躇によって一貫性が無いことが時々ある – いろいろな種類の接続詞や挿入句、副詞を使っているが必ずしも正しく使用しているわけではない。 | – 一定の長さで話することができる、ある程度の語彙力は持っており、その意味を理解しているが、使い方を間違うことがある。 – ほとんどの場合、言い換え表現を正しく使うことができる。 | – 基本的な文法および多少複雑な文法を使うことができるが、応用性に欠け、使い方が限られている。 – 複雑な文章で頻繁に間違うことがあるが、だいたいの意味を正しく伝えることができる。 | – 正しく効果的に発音やアクセントを加えることができる時もある。 – 全体的に言いたいことが伝えられているが、たまに間違った発音によりクリアでないことがある。 |
採点基準を確認し、理解することで、4つの採点基準に沿った練習方法を取り入れることができます。
4つの採点基準に従ったスピーキングの練習法
IELTSスピーキングの採点基準をもとに、各項目の技能向上を図る、おすすめの練習方法を7つ紹介します。
練習法①:瞬間英作文
流暢さを鍛えるため、瞬間英作文を取り入れてみましょう。
瞬間英作文を繰り返し練習することで、文の正しい構成と表現方法、チャンクを覚えることができます。
教材も、英語でのスピーキング力を向上させるための書籍などが多く用意されており、演習が行いやすいです。
瞬間英作文の演習
- 演習方法
演習は、以下の2通りの方法が効果的です。
・教材に書かれている日本語を、英語でアウトプットする
・日本語で読まれた音声を、英語でアウトプットする
書かれている日本語を、英語に変換することの方が易しいので、まずはその方法で始めるのがおすすめです。
演習を始めてすぐは、易しい日本語からステップアップしていくことを心がけましょう。最初のうちは瞬間的に日本語を英語に変換する練習は難しく感じることもあります。
日々の練習で鍛えていくことができるので毎日少しづつでも英語をアウトプットすることを心がけてみましょう。 - 教材
教材は、どれを使っても構いませんが、自分のレベルにあったものを選びましょう。
レベルが高すぎるものを選ぶと、返って効果的ではありませんので、焦らず、簡単な教材から始めて流暢性を磨いていきましょう。
瞬間英作文練習の練習は下記から
練習法②:音読練習
音読も、流暢さを鍛えるための練習になります。
音読の練習を重ねることで、正しいイントネーションとリズムをつかむことにつながり、流暢さが格段と上がります。
瞬間英作文と似ていますが、音読では正しい発音とイントネーションに焦点が当たります。瞬間英作文と同様、英語の表現やチャンクを覚えることにも、役立つ練習方法です。
音読の演習方法
- 演習方法
英語のスクリプトを見て、耳で音声を聞きながら、英文を音声通りに繰り返す練習を行いましょう。
音読演習において、スクリプトの意味が理解できていないと、効果がありません。スクリプトは予め確認し、単語の意味などを調べてから、演習に取り組むように意識しましょう。 - 効果的な演習方法
音読は、「なりきり」が一番効果的です。
ニュースやポッドキャストを使用するのも良いでしょう。 物語りのナレーターや、ニュース記事を読むアナウンサーになったつもりで、なりきって英語を音読してみましょう。 - 練習問題
下記の音声を一文一文区切って音声を真似して音読してみましょう
【音声スクリプト】
Today, I’ve got a story about a boy who loves adventure. His life is sometimes fun, sometimes sad, but always exciting. And the boy’s name is Huckleberry Finn. So, Huckleberry, let’s call him Huck, has come into a bit of money. His sister and a lady called Miss Watson, are all trying to get him to improve his behaviour and his manners.
音読については下記の別ページでもご説明しています
練習法③:表現力と語彙力を増やす
語彙力は、採点項目にもあるように、繰り返しを防ぐための、大事な武器になります。
表現力と語彙力を増やすために、単語の学習は必須です。単語は、どんな人でも、一気に覚えることはできませんので、時間をかけて習得していきましょう。
表現力と語彙力を増やす演習方法
- 演習方法
・1日10単語ずつ、など目標を決めて取り組む
・自分専用の単語帳を作る
特に、自分専用の単語帳を作ることは最も効果的な方法です。知らない単語や表現、自分の覚えやすい例文を、忘れないように書き留めておき、いつでも見返せるようにしましょう。 - 単語を覚えるときの注意点
①発音を確認する
②同義語や派生語も覚える
③例文を書きだす(覚えやすいものが効果的)
1度見ただけでは、単語を覚えきることはできません。何度も繰り返し単語や表現を見返し、記憶に定着させることが大事です。定着したかどうかは、自然とその単語や表現を使えるようになったかを確認してください。 - 同義語を覚える
単語や表現のバリエーションは2,3個持っていることが望ましいです。実際のスピーキングテストで、探していた言葉がとっさに思い浮かばなくても、同義語がわかっていれば、間を開けず、流暢に話すことができます。
IELTSのスピーキングでは、特に頻出のテーマが決まっています。
そのテーマについてよく使われる単語や表現、その同義語と派生語をピックアップしておきましょう。
IELTSのスピーキングで頻出のテーマ
・家族・親戚・友人
・仕事や勉強
・趣味
・旅行
・環境問題
・テクノロジー
勉強法④:接続詞を適切に使用できるように練習する
接続詞は、流暢さと文章の一貫性に関わってきます。
まず接続詞(接続副詞)、もしくはディスコ―スマーカー(discourse markers)とも言われますが、このような接続詞をうまく利用して文章を組み立てると相手に理解してもらいやすいと言えます。
例えば下記のように順序だてて説明することができます。←この項目はIELTSのライティングでも大事!
- 接続詞(接続副詞)
接続詞は、ディスコ―スマーカー(discourse markers)とも言われます。接続詞をうまく利用して文章を組み立てることで、話している内容が、相手に理解してもらいやすくなります。
以下の例で確認してみましょう。
どちらも、接続詞や副詞を抜くと話が分かりづらくなってしまいます。
順序だてた説明は、IELTSの採点項目でもあり、流暢なコミュニケーションを行うためにも必須です。
接続詞を正しく使用し、スコアアップにつなげましょう。
勉強法⑤:フィラー使えるように練習する
フィラーを使えるようになると、沈黙を避け、自然な会話に近づけることができます。ネイティブスピーカの多くが、会話中にたくさんのフィラーを使用しています。
- フィラーとは
フィラーは、一般的にConversation fillers「つなぎ語」と言われます。日本語で言うところの「あー」や「えーっと」などの言い淀みのことです。
フィラーには、「満たすもの」、「詰めるもの」という意味があり、会話の間をつなぐための、便利な表現として取り入れることができます。
【フィラーの例】
Uh / Ummm
Well..
Actually,
it
フィラーも、普段から使えるように練習をしていないと、試験で言葉に詰まったときに、フィラーが出てこない!使えない!ということに繋がります。会話の中で、言葉に詰まった時にいつも使う、と心に留めて、積極的に使えるように練習を重ねましょう。
勉強法⑥:複雑な文法の文章をアウトプットできるように練習する
IELTSスピーキングでは、文法の正しさだけでなく、文法の複雑さも採点基準に含まれます。
実際の試験では、流暢さを犠牲をしてまで複雑な文法を使用することはありません。しかし、スピーキングは練習を重ねることで鍛えられるので、練習の段階では積極的にチャレンジしましょう。
- 重複文と複文
文章の中で、複数の文が結合しているとき、以下のように分類できます。
・単 文:主語・述語の関係が1回だけで成り立っている形
・重 文:単文が単純に2つ連結した形(and, but, because などを使った分)
・複 文:単文の中に、さらに単文が組み込まれている形(while や whenなどを使った文)
・重複文:重文と複文が結合された形
試験では重文よりも複文、複文より重複分と、構造が複雑な文章の方がより評価されます。 - 演習方法
最初から複雑な文章を考えるのは難しいため、まずは簡単な従属節(副詞節)を伴う複文を考えることから始めるのがおすすめです。
以下は、簡単な従属節を用いた複文の例です。
複文がうまくアウトプットできるようになったら、重複文という長い文章を取り入れてみましょう。
関係代名詞や分詞を使うと、下の例のように、長く、複雑な文章を作れるようになります。
複雑な文法構造の文章を、自然にアウトプットできるようになるには、まず耳から聞き慣れるということが大事です。「聞く→練習する→聞く→練習する」の継続的な繰り返し行うことで、複雑な文章も自然と組み立てられるようになります。
勉強法⑦:英語を常に聞く
習慣的に耳で英語を聞くことは、英語力の上達に、非常に有益です。
日本国内の学習者は、特に英語を日常的に聞く機会が少ないです。カナダや英国圏にいる学習者は、英語が自然に耳に入ってくるため、自分から努力をしなくても英語が毎日聞ける環境が整っています。
教材を聞いても、「何を言っているか分からない」という理由でリスニングを行っていない方は、教材や音声のレベルを見直してみましょう。
まだ話すことができない幼児や子供は、耳で聞いたことから言語を学び、しゃべれるようになります。どの言語も、学びのシステムは同じで、聞くことは五感の中でも、特にパワフルな部分です。毎日の小さなステップですが、予想以上に効果を発揮します。習慣化することで、最初は分からなかったことが、徐々に聞き取れるようになり、早いスピードのリスニングにもついていくことができるようになります。
- 意識的に英語を聞く時間を作る
意識的に、1日30分からでも、「英語を聞く」時間を作りましょう。Youtubeや英語のSNSサイトなどを活用するのもおすすめです。
英語を聞くことで、複雑な文章を聞き慣れることもでき、耳に残りやすい決まったフレーズなども、簡単に覚えることができるように実感が得られるようになります。
スピーキング練習でつまづいたら…
最後に、スピーキング練習をやると決めても、なかなか自分では取り組めない方も多いと思います。リーディングやリスニングは、成果が目に見えやすいので、スピーキングよりも取り組みやすいです。明確な目標を設定し、定期的に自分のレベルをチェックすることで、モチベーションを保ちましょう。
また、オンライン英会話などでは、取り組み方を意識して効率よく活用しましょう。
まずは、正確な自分のレベルを把握しましょう。
初心者の方は、日本語を理解してくれる、バイリンガル講師からのレッスンを受講するのが一番良い方法です。勉強の仕方についての指導や、モチベーションの維持、勉強の習慣化の面でも実りが多いことでしょう。
IELTSスピーキングテストの本番では!?
練習を積み重ねてきた方、あまり勉強ができなかった方、全くできなかった方、どのステージでも、スピーキングの試験本番では、文法や文法の複雑さなどは気にせず、まずは流暢さにフォーカスしましょう。
会話中の沈黙が、一番点数を取れない要因となるため、とにかく、思いついたことを英語にしてみましょう。ただし、ここで「あせり」は禁物です。
以下が、本番で大事なこと3つのポイントです。この3点に注意して、本番のテストに臨みましょう。
✅試験官の質問の内容を理解する
自分の解答が、ある程度の的を得た内容になるよう導く
✅「答え+α」の情報を伝える
一問一答ではなく、会話を広げるように努力する
以下のスピーキングのテンプレートを活用し、文章を組み立てる
①試験官の質問に対する自分の意見
②なぜそう思ったか、その理由
③理由を裏付ける具体例
✅沈黙をなくすためのフィラーを利用する
会話中の沈黙は失点の原因になるため、フィラーを使用し沈黙を防ぐ
この3点に注意して試験に臨めば、スピーキングテストの結果が、極端に悪くなることはありません。
IELTSスピーキング練習方法 まとめ
IELTSのスピーキングを効果的に練習するには、まずは採点基準を把握し、求められていることが実践できるようなりましょう。
①瞬間英作文の練習
②音読練習
③繰り返しを防ぐため表現力と語彙力を増やす
┗言い換え表現を覚える【派生語と同義語】
┗単語や表現を覚える時には正しい発音を必ずチェックする
④接続詞と副詞が適切に使用できるように練習する
⑤フィラーを覚えて、使えるようにしておく
⑥複雑な文法の文章をアウトプットできるように練習する
⑦英語を常に聞く
上記の練習を、日々重ねていきましょう。それでも「スピーキングが上達していない」、「やり方があってるか分からない」、「自分で練習できない」、「スピーキングに不安を感じる」と感じた学習者は、プロに頼ることも選択肢に入れましょう。時間を有効に活用し、効率よく上達することにつながるはずです。
MAEのIELTSオンライン講座は苦手なアウトプットに特化した練習が可能です。
スピーキングでは高得点をとれる答え方とテンプレートで実践的に話す練習をします。
無料体験は随時実施中!