IELTSアカデミックのリーディングでは、長文が3つ出題され、設問数は40問、制限時間は60分です。
時間との戦いとも言われるIELTSのリーディング試験では、速読力や読解力が必要とされます。
この記事では、文章を読む力を向上させる、効果的な復習方法について紹介していきます。
リーディング復習の重要性
IELTSのリーディング学習を行う際、次のように取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。
- 新しい問題をとにかくたくさん解く
- 解答だけ確認し、解説は読まない
- 1度解いた問題を解き直さない
実は、読解力を向上させるためには、問題の量をこなすよりも、1つの問題を丁寧に解く方が効果的です。
リーディング学習を行う際は、解き終わった問題を復習し、内容を理解するように心がけましょう。
復習を行うメリット
復習を行い、問題と解答を見直すことで、次のようなメリットがあります。
- わからない単語や表現が明確になる
- 文章の構造や構文などを見抜く力がつく
- 文法力の強化につながる
- 読解力が向上する
- 言い換えや書き換え表現が身につく
- IELTS特有の問題形式や頻出問題に慣れる
このように、復習を行うことで、IELTSに限らずリーディング全般の能力を高めることができます。
リーディング間違った復習方法
復習は、リーディング学習で非常に効果的ですが、正しく行わないと逆効果になってしまうので気を付けましょう。
- 正解した問題を振り返らない
- きれいな日本語に翻訳する
- 本文中の単語を全て覚えようとする
正解した問題を振り返らない
正解していた問題でも、たまたま正解だったパターンもあるので、必ず振り返るようにしましょう。
解答を選ぶ際に、本文のどこが根拠になっているかを明確にすることが大切です。
きれいな日本語に翻訳する
英語の文章は、日本語と単語の並べ方が異なるので、前から順番に意味を解釈することが大切になります。
本文を振り返る際に、単語の順番を入れ替えて日本語に訳すと逆効果になってしまうので気をつけましょう。

きれいな日本語でなくても大丈夫なので、文章の構造を考えながら訳していくように意識しましょう。
本文中の単語を全て覚えようとする
本文や設問に使用されている知らない単語を、すべて覚えようとすると効果が出ないので気を付けましょう。
IELTSで使われる単語数は多く、全てを網羅することは難しいので、重要な英単語に絞ることが大切です。
特に、固有名詞や専門用語などは補足が記載されていることが多いので、無理に覚える必要はありません。
リーディング正しい復習の仕方
間違えた問題やわからなかった問題を、原因を分析し振り返ることで、リーディング力の向上につながります。
復習の正しいステップは次の通りです。
- 読み方と解き方をどちらも復習する
- 本文を精読し、訳せない部分をなくす
- 重要単語を調べて単語帳に書き込む
- 間違えた理由を明確にする
- 今後の対策を考える
1. 読み方と解き方をどちらも復習する
IELTSのリーディングでは、本文を読む力と問題を解く力の両方が必要とされます。



本文の内容を理解できても、解き方がわからなければ解けませんし、解き方がわかっても、内容が理解できないと正しく解答できません。
本文が読めているか、設問を正しく理解できているかを確認するポイントは次の通りです。
- 本文が読めているか
- 問題文を読めているか
- 選択肢の違いを理解しているか
- 間違った理由は何か
2. 本文を精読し、訳せない部分をなくす
精読とは、「細かい所までよく注意して読むこと、熟読すること」と定義されています。
精読を行う際は、時間をかけて1つ1つのの文章の構造、内容を丁寧に紐解いていきましょう。
文章が長くなるほど、関係詞などで修飾されている単語が多くなり、内容を理解するのが難しくなります。



どこまでが名詞で、どこまでが動詞化など、しっかり見極めて内容を理解していきましょう。
3. 重要単語を調べて単語帳に書き込む
本文や設問で使われている単語や表現の中で、知らなかったものは書き出して覚えていきましょう。
この時、単語の重要度を判断することが大切で、すべての単語を覚える必要はありません。
自作の単語帳に書き出し、意味やスペルだけでなく、類義語や例文、発音も一緒にまとめることがおすすめです。



自分の単語帳を作る作業は時間がかかりますが、その分しっかりと記憶に定着します。
あまりにも知らない単語が多すぎると、書き出す単語も多くなり負担になってしまいます。
学習教材は自分のレベルにあったものを使用することがおすすめです。
4. 間違えた理由を明確にする
間違った問題は、とても貴重です。スコアに一喜一憂せず、間違った問題をしっかりと見直しましょう。
間違った問題は、解答だけではなく解説も確認し、どこを、なぜ間違えたのかを分析し、明確にします。
教材に解説がついていない場合は、本文中から解答の根拠になる部分を見つけ出し、印をつけておきましょう。
- 設問の意味が理解できていない
- 言い換え表現に気づけない
- 全体像を把握できていない
- 焦りなどで、本文と同じ単語が使われている選択肢を選ぶ
- トピックに馴染みがなく、内容が理解できない
- 構文や内容を理解する力が足りていない
5. 今後の対策を考える
間違いの原因が分析できたら、解決のための対策方法を考えましょう。
おすすめは、自分の間違いと対策をまとめた「対策ノート」を作成し、まとめることです。
間違えた箇所:意味を取り間違えていた
原因:文法が間違っていた、情報が抜けていた、など
対策:関係代名詞の修飾部分を間違えたので、文法をおさらいする など
IELTSの問題を使用している場合は、次の項目も書き出すことでより効果的に学習を進められます。
- 問題のパターン
- 言い換えのパターン
- 繰り返し出題される問題
精読の仕方
精読では、文章の構造を分析し、日本語に翻訳していきます。また、品詞を意識し、修飾語の関係を明確にします。
ここでは、スラッシュリーディング(区切り読み)と呼ばれる方法を紹介します。
スラッシュリーディング
スラッシュリーディングは、意味のかたまり(チャンク)ごとに、スラッシュ(/)で区切って読む方法です。
次の例文をスラッシュリーディングを用いて翻訳していきましょう。
After 36 days of battling sharks/ that kept biting their equipment/, scientists /have returned/ from the remote Pacific Ocean/ with a new way of/ looking at the world’s largest/ – and possibly most mysterious /- volcano, Tamu Massif/.
After(前置詞) 36 days of battling sharks(名詞句)/
that kept biting their equipment(副詞句:関係詞句でsharkを修飾する)/
scientists (主語)/
have returned(動詞)/
from the remote Pacific Ocean(副詞句:returnを修飾)/
with a new way of(副詞句)/
looking at /the world’s largest(形容詞:volcanoを修飾)/
– and possibly most mysterious (形容詞:volcanoを修飾)/
– volcano, Tamu Massif(名詞)/←ここ全体が動詞 return にかかる副詞句.
彼らの装置を噛んでしまうサメとの36日に渡る戦いの後、科学者たちは遠く離れた太平洋から戻ってきた。世界で一番大きく、最もミステリアスであろう火山、Tamu Massifを眺める新しい方法を見つけたのだ。
このように、1つ1つ日本語に訳して丁寧に精読することで、着実にリーディング力が向上します。
IELTSリーディングの復習の仕方 まとめ
リーディングを終え解答を確認した後、「やりっぱなし」は禁物です。リーディングでは、ちゃんと読めているか、読み落としはなかったか、読み間違えはないか、などの復習が必要です。
最初は非常に時間がかかり、めんどくさい作業と感じる方も多いですが、読解力と速読力を身につけるためには、精読を繰り返し行うことが何よりも大切です。
そのほか、文法力の向上、語彙力の向上、英語情報処理能力の向上にも効果的なので、リーディングの復習は総合的な英語上達の大事な骨組みとなります。
文法解析と解説から学ぶ