抽象名詞は数えられる時と数えられない時がある
まずは、英語の名詞には「数えられる名詞」と「数えられない名詞」の二種類があり、それぞれ可算名詞・不可算名詞と言います。
可算名詞は、desk, chair, tableといった数えられる名詞のことを指し、その名詞が1つなら冠詞“a”、2つ以上なら複数形の”s”を付けることができます。
一方、不可算名詞は、coffee, tea, waterといった液体など数ではなく量で判断するものや、love, beauty, happiness, anger, hate, peace など、感情やアイデアを表す言葉を指します。
後者のような、原則的にひとつ、ふたつと数えられない抽象的な概念を表す名詞を抽象名詞と呼びます。
確かに、love(愛)やbeauty(美しさ)は、実在する物質のように数で表すことは難しいですね。
しかし、抽象名詞は使い方によって数えられる場合があります。
例1:She is a real beauty. / 彼女はとても美しい人です。 |
抽象名詞の “beauty” には「美しい人」という意味もあります。
概念である「美しさ」としてではなく、具体的な「人」を表す語として使われる場合は、可算名詞扱いとなります。
このように、抽象名詞には、可算名詞と不可算名詞の意味を両方持つものがたくさんあります。
上記以外にも、以下のような名詞が当てはまります。
可算名詞 | 不可算名詞 | |
experience | 経験 | 体験 |
application | アプリ(アプリケーション) | 応用 |
promise | 約束 | 見込み、有望 |
arrangement | 準備、手配 | 整理、配置、取り決め |
proposal | プロポーズ | 申し込み、提案 |
instruction | 命令、指示、説明書 | 教授、教育 |
wish | 願望、希望 | (~したいという)願い |
recommendation | 推薦状 | 推奨、勧告 |
attitude | 態度、姿勢 | 気持ち、考え、意見 |
上記の名詞はどちらの意味でも使われることが多く、一つの個体として数えたい場合は可算名詞として、考え・概念として扱われる場合は不可算名詞となります。
その単語の意味が具体化・物体化すると、数えられるモノになるのです。
話者によって意図するものが違うので、時と場合、話者が話そうとする内容に応じて判断する必要があります。
また、抽象名詞の前に形容詞が付くと数えられることが多くなります。
これは、抽象名詞が形容詞によって限定されることで具体化するため、数えられるようになるという考え方に由来します。
例2:a deep sleep 「深い眠り」 |
「深い眠り」があれば「浅い眠り」もあることを暗示しています。したがって「眠り」に種類ができることで、sleepを可算名詞化させます。
例3:a thorough knowledge 「徹底した知識」 |
しかし、形容詞を伴うといって、全ての抽象名詞が数えられるようになるとは限りません。
例えば、”heavy traffic” 「交通渋滞」はheavyを伴っても”a” は付かず、どんな時も数えることができません。
その他、advice, information, news, luck, damage, equipment, fun, homework, work などは、形容詞が付いても数えられることは絶対にありませんので、覚えてしまいましょう。
抽象名詞のまとめ
抽象名詞が可算名詞として扱われる場合は以下の2パターン
・具体的なものを指す場合
・形容詞などを伴って具体化する場合
形容詞が付いても数えられない抽象名詞の例外を覚えるのが一番手っ取り早い方法です。
正しい知識を実践から学ぶ