IELTSのスピーキングでは解答を暗記すべきか?
IELTSのスピーキングでは、日常的な会話からIELTS特有の質問など、様々な課題があるため、準備が足りていないと、試験本番で全く答えられない、ということも起こりえます。人によっては、用意したスクリプト(台本)を暗記することもあるでしょう。
試験官は、質問に対して、考えることなくすぐに答えが返ってくると、解答を暗記していると察知します。ネイティブでも、考えたことのない質問では、少し間をおくことは自然です。第2言語の英語習得者が、すらすらと答えられると、試験官は不思議に思います。事前におおまかな内容を、トピックごとに考えておくことは、スピーキング対策としては必須ですが、文章全体を暗記することは、絶対に避けましょう。
また、話し方によっては、メカニカルなスピーキング(いわゆる棒読み)と判断され、高得点が出づらくなります。
IELTS スピーキング試験で「メカニカル」と捉えられるポイント
- 難しい質問でもすぐに答える(間投詞が少なすぎる)
- 話すスピードが速い
- 話すスピードに変化がない
- イントネーションに乏しい
スピーキングでは、常に友達や知り合いと話しているような、「自然な会話」を心がけましょう。早く話すことを意識せず、スピードに変化を加えて、イントネーションにも強弱をつけましょう。イントネーションは、英語の自然な会話にはとても大事な要素です。
「メカニカル」を避ける4つのテクニック
1. 間投詞を使う
間投詞は、フィラー(Conversation fillers)と言われ、沈黙を避けることや、質問の解答を考える時間を稼ぐことができます。回答に詰まってしまった時や、難しい質問の解答を考えたい時などは、フィラーをうまく使い、自然な英語に聞こえるように意識しましょう。
間投詞の例
Er… let me think…
What do you think are the most common causes of road accidents?
Er… let me think… I would say there are two main causes…
Hmm… that’s a good question…
Is listening to the radio more beneficial for children than watching TV?
Hmm… that’s a good question. I guess it is, because…
Actually… I’ve never really thought about it…
Why do teenagers love texting their friends?
Actually… I’ve never really thought about it… It might be, because they…
Umm… (repeat the question)
Where do you see yourself in ten years’ time?
Umm… Where do I see myself in ten years’ time?… Maybe, I will…
Well, you know …
Would you give up your car and cycle to work?
Well, you know… I work quite far from home…
2.速く話そうとしない
速く話すことが、高得点につながるわけではありません。「早口」と「流暢」は違うので、流暢さを意識して早口にならないように気を付けましょう。日本人は、特有のアクセントがあるため、ネイティブの試験官が聞き取れるように話すことが大切です(articulation または enunciation と言います)。
少しゆっくりと答えることで、「しっかりと考えて答えている」という、落ち着いた印象を与えることができます。スピードが速いと、「焦っている」や、「覚えたことを一気に話そうとしている」、「意味がないことを話している」という印象を持たれることがあります。ゆっくり話すこと(Speaking Slowly)には、以下のようなベネフィットがあると認識されています。
①Feeling more relaxed and in control, which is critical when presenting
(プレゼンをする時に、自分のスピーチをコントロールしてリラックスするのに役立つ)
②Your words have more weight and power
(言葉に重みとパワーを感じる)
③The audience has an easier time following your presentation you aren’t overwhelming them with too much information
(たくさんの情報で利き手を圧倒することはなく、プレゼンの内容を理解してもらいやすい)
④You are able to inject more emotion, passion and emphasis into your words because you aren’t rushing to get to the next sentence
(言葉を発するのに急いでいないので、感情移入をすることができる)
⑤You come across as more relaxed, steady, confident and knowledgeable
(リラックスして落ち着いた、自信に満ちた博識の印象を与える)
自分の意見をしっかりと伝えること、伝わる英語を話すことを意識することで、コミュニケーション能力をアピールすることにつながります。自然なスピードよりも、少し遅めのスピードで話す例を、「Tedtalks」から引用しました。参考にしてみてください。
3. 話すスピードに変化をつける
ネイティブスピーカーは、話すスピードに、自然と変化を付けています。速度をSlow down, Speed upすることで、とても自然な英語に聞こえるようになります。ポーズ(サイレンス)をうまく活用し、話す速さをコントロールしましょう。
不自然なところでポーズを入れたり、急に速度を変えないようにしましょう。例えば、上の解答で、theとotherの間にポーズが入ると、言葉のまとまりが不自然になってしまいます。
「ポーズを取る」と「沈黙で詰まる」の違いも意識しましょう。「ポーズを取る」は、文章の中に間を作り、スピードを自然にコントールすることを指しますが、「沈黙で詰まる」は、適切な表現や言葉が見つからず、黙ってしまうことを指します。沈黙をすると、不自然に間が空き、言い直しや周りくどい表現をしてしまうことにもつながります。
4. イントネーションをつける
英語は、アクセントの位置が違うだけで、全く聞き取ってもらえなくなります。単語の発音やアクセントを間違えている、強調すべきところが強調されていないなどの場合、「イントネーションに乏しい」と判断されます。正しい単語のアクセントを覚え、スコアアップにつなげましょう。
以下の単語のアクセントを確認しましょう。正しく覚えられているでしょうか?
- specific [spɪsífɪk]
- professional [prəféʃənl]
- separate [sépərèɪt]
単語
単語の発音と、アクセントの位置は、オンライン辞書や、Googleなどで、「発音を調べたい単語 + pronunciation」と検索すると、すぐに確認することができます。
単語帳など、紙ベースで単語を覚える場合には、単語のスペリングだけでなく、音と一緒に覚えるようにしましょう。単語が覚えやすくなり、実際の試験でも自然に使えるようになります。その際、発音記号を読めるようにしておくと、非常に効率的です。
文章全体
単語の正しい発音を覚えたら、文章全体のアクセントを意識しましょう。スピーキングは文の塊で表現するため、文章全体が単調だと、とても聞きづらくなってしまいます。正しい発音・アクセントだけでなく、文の中で強調する語を意識するようにしましょう。
以下の例では、「very」を強調され、聞き取りやすく自然な英語になっています。
また、文章全体のアクセントに気を付けましょう。以下の表を参照し、どのようなシーンで上がり調子になるかを意識し、話すようにしましょう。
メカニカルスピーキングの対策
メカニカルスピーキングの最も効果的な対策は、音読をすることです。音読を行う際は、音声とスクリプトを準備し、スクリプトの内容は事前に理解しておきましょう。音声を一文聞いて、その後を追って声に出して読む、を繰り返します。
音読は、メカニカルスピーキングの対策だけでなく、語彙力、読解力、リスニング力の向上にもつながります。
また、発声に慣れて滑舌が良くなる、声を出すことへの苦手意識も軽減する、などの効果もありので、普段のコミュニケーションにも効果が発揮されます。
音読をする上での注意点を紹介します。
- 音読の効果は、毎日継続することで最大化します。習慣化していきましょう。
- 読む文章を定期的に変える
- 大きな声で読む
日々の勉強に音読練習を取り入れて、メカニカルなスピーキングの問題を克服しながら、スピーキング力を高めましょう。使用する音声は、オンライン上の「TedTalks」 やお持ちの教材、Podcast など、何を使っても問題ありませんが、必ず自分のレベルにあった教材を選びましょう。
やってはいけない!メカニカルスピーキング まとめ
IELTS スピーキングでは、暗記した内容を話すと、メカニカルなスピーキング(いわゆる「棒読み」)と判断されます。当校では、回答を覚えることは絶対にお勧めしておりません。
対策として、音読練習を取り入れ、ポーズやスピード、イントネーションに重点をおいたスピーキングの練習が大切です。IELTSのスピーキングは、試験であるとともに、試験官との対話であることを認識しましょう。
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