TOEFLiBT には文法力が必要!

TOEFLiBTに直接文法を問う問題はない

TOEFLでは直接に文法を問う問題が出題されることはありません。しかし高い文法力と理解力がないと英文解釈と英文ライティング、しいてはすべてのセクションに問題が生じることになります。 80点以上の高得点を目指す方にとっては文法知識は押さえておかなくてはなりません。また、リーディングでは、講義の内容が出題されるため、ある概念をしっかりと頭に入れて理解する必要があります。英語を訳せてもその意味を母国語で理解する想像力と国語力も必要になります。

高い文法知識を要するリーディングセクション

TOEFLのリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの中で最も高い文法力を必要とするのがリーディングです。英文を文法的に解釈して内容を理解する必要があるからです。アカデミックな内容の知識は必要としませんが、説明されている概念をしっかりと理解することが必要になります。

TOEFLリーディングに文法力が必要な理由5つ

理由1:TOEFLのリーディングでは、本文で使われている単語を巧みに使った4つの選択肢から1つも正解を選びます。選択肢の文章は主語や動詞、目的語がそれぞれ違います。もちろん主旨や意味が全く違う文になりますが、しっかりと読解ができていないと、使われている単語に騙されて、意味の違いに気づかず正解へ導くことが困難になります。

理由2:TOEFLのリーディングでは、選択肢の意味があっていても、問いに答えていない内容のものは除外する必要があります。つまり選択肢の内容があっているということで解答を選ぶことができません。

理由3:TOEFLのリーディングでは、問題文も長く、設問も長いものが出題されることが多く、文章がどのようにつながっているか、などの文章構造を理解できないと問題文の意味と問われている内容を把握するのに苦戦します。特に関係代名詞や分詞の理解、どこまでが主語でどれが動詞なのかの理解が必要です。

理由4:TOEFLのリーディングでは、言い換え表現が非常に巧みであり、長い文章の一部となっている場合が多いのでつい見逃してしまうことが多いのも事実です。

(例題)
正解の”Some histrians admire Roman civilization because of its strength”が本文中では
 → ”there are the power worshippers, especially among historians, who are predisposed to admire whatever is strong, who feel more attracted to the might of Rome than to the subtlety of Greece”と記載されています。


理由5:TOEFLのリーディングでは、推量問題があり、本文の内容から推測して確実に言えることを選ばなければいけない問題があります。

このようにリーディングでは高い文法力と読解力、理解力、想像力が必要になります。

ここからは、設問を見ながら詳しく解説していきます。

文法力を必要とするリーディングの例題

例題1
【本文】

Lightning

Lightning is a brilliant flash of light produced by an electrical discharge from a storm cloud. The electrical discharge takes place when the attractive tension between a region of negatively charged particles and a region of positively charged particles becomes so great that the charged particles suddenly rush together. The coming together of the oppositely charged particles neutralizes the electrical tension and releases a tremendous amount of energy, which we see as lightning. The separation of positively and negatively charged particles takes place during the development of the storm cloud.

問題: According to paragraph 1, all of the following take place in the development of a flash of lightning EXCEPT

① great tension between two oppositely charged regions
② an increase in negatively charged particles over positively charged particles
③ oppositely charged particles coming together
④ the release of electrical energy in the form of visible light

【解説】雷が発達する概念について説明している段落です。どのようにマイナスとプラスの電流の圧力が高くなり、それを放電する際の雷が起こる仕組みについて述べています。

問題文の訳をしてみましょう!
≪パラグラフ1によると、雷の光が発達する上で、下記のどれかのうち1つを除いたすべてが行われるます。≫

 ① great tension between two oppositely charged regions ≪2つの逆帯電した部分の高電圧≫

← 本文で”when the attractive tension between a region of negatively charged particles and a region of positively charged particles becomes so great” ≪マイナスの電流の部分とプラスの電流の部分の間でひきつけあう電圧が非常に高くなる時≫と説明されています。
 
 ②an increase in negatively charged particles over positively charged particles ≪プラスの電流がマイナスの電流より多くなる≫ 

← これが正解ですが、マイナス電流とプラスの電流の圧力が高くなることは言及されていますが、”increase over” マイナスの電流がプラスの電流より圧力が強いとは言及していないことに注意。

 ③oppositely charged particles coming together ≪逆の電流が集まる≫  

← 本文では”The coming together of the oppositely charged particles neutralizes ” ≪マイナスとプラスの電流が集まることでxxを中和する≫と説明されています。
 
 ④ the release of electrical energy in the form of visible light ≪目に見える光で電気エネルギーは放電される≫ 

← 本文では”and releases a tremendous amount of energy, which we see as lightning” ≪多大なエネルギーを放出する、そしてそれは私たちが雷としてそれをみることができる≫と説明されています。

例題2
【本文】

Most lightning takes place within a cloud when the charge separation within the cloud collapses. However, as the storm cloud develops, the ground beneath the cloud becomes positively charged and lightening can take place in the form of an electrical discharge between the negative charge of the cloud and the positively charged ground. Lightening that strikes the ground is the most likely to be destructive, so even though it represents only 20 percent of all lightening, it has received a lot of scientific attention.

問題: The author remarks that”lightening that strikes the ground is the most like to be destructive in order to explain why

① this form of lightening has been investigated so much
② this form of lightening is not as common as lightening withine a cloud
③ scientific understanding of this form of lightening is important
④ the buildup of positive charge on the ground beneath a storm cloud can have serious consequences

【解説】この段落では、雷は雲の中で起こるが、雷雲が発達するにつれて地面がプラスの電気を持ち、雷が地面に落ちる結果となることを説明しています。そして地面に落ちる雷は少ないけれど、とても破壊的なので注目を集めるのだと言っています。

問題文の訳をしてみましょう!
≪作者は??の理由を説明するために地面に落ちる雷は非常に破壊的になり得ると言っている≫
??の部分の理由を選ぶ問題です。TOEFLではよく出題される因果関係を問う問題です。

 ①this form of lightening has been investigated so much ≪この種のタイプの雷はかなり調査されている≫

 ← 本文では”Lightening that strikes the ground is the most likely to be destructive, so even though it represents only 20 percent of all lightening, it has received a lot of scientific attention.” ≪地面に落ちる雷はとても破壊的となり得るので、全体の20%にしか満たないが、科学的に非常に着目されている≫と説明されています。

つまり、破壊的なので(理由)⇒ 着目されている(結果)という意味。「着目されている〔つまり科学的に調査されている〕理由はとても破壊的だからです」と同じ意味であるためこれが正解になります。
 
②this form of lightening is not as common as lightening withine a cloud ≪この種のタイプの雷は雲の中で起こる雷よりも一般的ではない≫

 ← 本文では確かに全体の20%しか発生しないと述べていますが、この問題で問われていることには関連していません。

③scientific understanding of this form of lightening is important ≪このタイプの雷の科学的な理解は重要である≫

 ← この内容は記載されていませんが、注目されて調査されているので重要だと解釈しないようにしましょう。また、重要であるという理由を説明するために地面に落ちる雷は破壊的になり得る、と解釈するとかみ合わなくなります。
 
④the buildup of positive charge on the ground beneath a storm cloud can have serious consequences ≪雷雲の下の地面にプラスの電流が蓄積すると深刻な結果を及ぼす≫

 ← 本文では地面にプラスの電流の蓄積するということは全く書かれていませんでした。

このように、リーディングで本文の読解を行う時でも、問題と選択肢の意味を把握するにも高い文法力が必要になります。

TOEFLライティングでの必要な文法知識

ライティングセクションでも文法の知識はもちろん必要になります。TOEFLでは、ライティングが最初の下書き (first draft)ということを認識しているため、ある程度のケアレスミスは許されています。しかし、書き換えをせず、また短文だけでは点数につながりません。どの試験のライティングでも一般的に評価される点は、文法のミスがなく、複文や重複文などの複雑な文章構造が正しく使えていること、その他、適切な言い換えができていることです。

特にTOEFLのライティング・パート1ではリーディングを伴う統合問題です。リーディングはある事柄についての1つの見解について説明していることが通例です。スコアアップのために本文をそのまま抜き出して書くことは避け、言い換え表現が必要になります。単語単位で言い換えもできますが、意味のまとまり、もしくは文章単位での書き換えができるとスコアアップにつながります。言い換えを適切に行うには、応用力が必要であるためやはり文法知識が必要になります。

TOEFLの添削はAIのレーターと人間の採点官で行われます。採点の比率は公開されておりませんが、レーターが適切な語彙の選択、文法、スペルミス、段落の発展などを採点します。採点官も同様に同じ項目を採点します。その採点した素点のスコアを統合して最終的なスコアが算出されます。2回の採点されることを考えると「ミスの見逃し」は、ほぼないと言えます。

ライティングでは、文法のミスが内容の理解に大きく関係してきます。添削例を見ながら詳しく解説していきます。

【添削例】

【解説】

① 元の文章である ”three advantages of a franchise” では、フランチャイズのメリットになりますが、ここではフランチャイズのオーナーになるメリットのことを説明していたので「three advantages of owing a franchise」が適切な表現になります。

② 元の文章は ”the lectuere argues that compare to an indenent business” となっていましたが、that節の後は文章が続かないといけません。そのため文章を続けるように訂正しました ⇒「 being a franchise owner does not have …..」

”merits”と”demerits”は ここで示している”advantages”と”disadvantages”の言い換えとしては不適切です。”merits”の意味は「称賛に値する美点」です。Demeritは「欠点」や「損」という意味です。認識してほしいことは、メリット、デメリットはカナダを含めて英国圏ではあまり使われる単語ではありません。

③リーディングの部分では、「親会社から信頼のおけるサプライヤが提供されるので間違ったサプライヤを選ぶリスクが減るということがフランチャイズオーナーになる利点」と書かれていました。そのため、元の文章である”Franchisees can gain reliable suppliers of their goods and services” では直接的な結果ではなくなるため、リスクを言及するようにトピックセンテンスを明確にしました。

また、 “gain” は物質的なモノを後ろにとらず、抽象的な名詞を取ることが多い動詞です。”gain weight, respect, confidence”など、そのため “gain suppliers”では不自然な表現になります。

④リーディングの部分では「契約書には通常、フランチャイザーが使用するサプライヤが記載されている」という情報があったため、うまくその情報をいれるために文を区切って訂正しています。

※長すぎる文章は分かりづらくなります。ひと段落着いた所で文を区切ることも大事なライティングスキルです。

⑤”reliable supplier”を”good suppliers”で言い換えることはできません。”good” はとてもあいまいで具体性のない形容詞ですのでエッセイでは避けた方が良い単語です。もっと具体的に”reliable” を言い換えると “dependable, trustworthy”が適切でしょう。

⑥ 元の文章である”Moreover, it can prevent risk of serious problems” ではもう一つの利点があるように聞こえてしまいます。しかし、もう一つの利点ではなく、間違ったサプライヤを選ぶリスクを避けることができるという利点だけを述べていたのでこの文章は必要ありません。

⑦”goods and service prices from offering suppliers tend to be over prices”が元の文章ですが、これだと≪サプライヤを提供することからの商品やサービスの価格は≫という内容になってしまいます。”goods and services offered by the specified suppliers”に訂正することで≪その特定されたサプライヤによって提供される商品とサービスは..≫と適切な内容の文になります。

”over prices(2語)” は≪価格の上≫となってしまいますので、 一つの単語として “overpriced”≪高すぎ≫という意味の単語で言い換えました。

⑧”cheaper”は英語では≪安っぽい≫という意味で、口語的な表現です。「安価な」というアカデミックな用語である”affordable”に訂正することでスコアアップにつながります。

⑨ “they should buy their suppliers”となっていますが、”buy cheaper goods and services”と表現したい所なので適切な文章に訂正しています。

ライティングでも、上記のように自分の伝えたいことが適切に英語で表現されていることが大事なポイントですね。減点の対象をなくすことにもつながります。TOEFLライティングの採点基準にも「langauge errors」 や 「errors of grammar」 が顕著であると素点が3 (30点満点の12点から18点の間) にとどまりまることが記載されています。

特に、時間制限のある中でミスをなるべくなくしていくためには練習が必要です。まずは正しい文章を書く練習をしましょう。英作文で文法のミスなく書くことができれば、ライティングでおのずと文法ミスが減ります。

★英作文の練習は下記から

TOEFLスピーキングとリスニングでも文法が大事な理由

文法力は実は基礎英語力をアップさせるための大事なルールです。確かに文法の学習をしているだけでは、スピーキングスキルもリスニングスキルも向上しません。それなりのアウトプットの練習はプラスで必要になります。

しかし、文法とは言葉のルールです。ルールに従って文を組み立てるためスピーキングでもリスニングでもその理解を深めることができます。また応用がきくようになり自分で文を作り出すことができるようになります。リスニングでは耳で聞いた英語のかたまりや文章が瞬時に読み取れるようになるため、英語の処理速度が上がります。

文法書は自分のレベルにあったものを選ぶ!

文法書は必ずレベル別になっています。初級者用、中級者用、上級者用に分かれているには理由があります。それは英文法にはルールにのっとらないたくさんの例外があるからです。

初心者の方が例外から学んでもしょうがありません。基本的なルールだけに集中してそのルールを暗記することがとても大事です。

中級になると、基本的な英文法の知識のみならず、、複雑な文法項目(倒置構文など)もカバーします。応用がきくように論理的文法の説明がついているものが多いでしょう。そして文法の例外も大まかに説明されています。

上級文法になるとさまざまな細かい例外や異例のほか、複雑な文章構造を持つ文章の解析が記載されていることでしょう。試験対策では目標スコアにもよりますが、上級文法までカバーする必要はありません。しかし、ステップバイステップで初級から中級をカバーしていくことは大事なプロセスになります。

また、文法書はフィーリングも大事ですので、本屋に出向いて中身を見て自分にとってわかりやすい説明であるかどうかを確認しましょう。

TOEFL iBTには文法力が必要

TOEFLiBTの試験では直接文法を問う問題は出題されませんが、文法力が乏しいと一番影響を受けるセクションはリーディングです。アカデミックな内容のリーディングをコンセプトを理解しながら解釈していく必要性があり、文法的な解釈ができないとついつい意味をはき違えることも多くなります。文法的に解析することができれば、選択肢の意味の違いや主語が変わったことによる主旨のずれなどを理解することができるようになります。ライティングでは、文法に長けていることが何よりの強みとなることは一目瞭然でしょう。

TOEFLの対策を始めたばかりの方はぜひ文法対策と語彙対策から始めましょう。TOEFLの対策をコツコツ続けている学習者でも「文法に帰る」ことはおおきな利点となります。文法をおさらいすることで大きな飛躍につながることでしょう。


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