海外の大学に入学するために必要なIELTSスコアは、ほとんどの大学が最低6.0以上を条件としています。「IELTS 6.0 – 6.5の壁」と言われるように、多くの方々が目指している点数でもあります。日本のIELTSの平均点は、2022年の統計では5.9と言われています。では、IELTS 6.0はどれくらいのレベルなのか? バンドスコア 6.0を取得するためのポイントをお話しします。
IELTS 6.0のレベル
まず最初にIELTS6.0のレベルを他の試験と比較してみました。以下の表から他の英語資格試験と「IELTS6.0」のレベルを比べてみましょう。
スコア換算表
IELTS | TOEIC | 英検 | TOEFL IBT |
8.0 | 990 | – | 111~120 |
7.5 | 970~990 | – | 102~110 |
7.0 | 870~970 | 1級 | 95~101 |
6.5 | 820~870 | – | 79~94 |
6.0 | 740~820 | 準1級 | 60~78 |
5.5 | 600~740 | – | 46~59 |
上記の比較表からも分かるのように、IELTSはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの技能を測定するのに対し、他の試験ではIELTSのようなライティング、スピーキング試験がありません。したがって、一概にスコアが換算できるとは言えませんが目安として比較されるとよいでしょう。
IELTS 6.0に値するTOEIC 740~820のスコアを持っている方は、聞く力と読む力はある程度備わっているものだと認識します。このことからIELTS6.0はある程度の英語力を必要とします。だからと言って、書く力、話す力があるかと言うとライティングとスピーキングは、インプットを必要とするリスニング、リーディングとは異なり、アウトプットを必要とするので全く別のものと捉えた方がよいでしょう。つまり、IELTS試験を実際に受けてみないと一体どれくらいの点数が取れるのかは予想できません。おおむねですが、IELTS6.0レベルは難易度が高いということがわかりますね。
6.0に必要な勉強時間
もちろんご自身の英語力によって変わってきますが、スコアを0.5あげるためには大体100-300時間の勉強時間が求められます。だいたい高校卒業レベルの英語力であれば、IELTS6.0を取得することはさほど難しくないと思いますが、高校で使われる語彙数を大幅に超えるので語彙力の強化は必要です。
下記のセクション別対策を行い余裕をもって試験に臨み望みましょう。
6.0の戦略
総合スコア6.0を目指す場合は、理想は4つのセクションすべて6.0を目指すことを考えてすべてのセクションをバランスよく対策することが一番の近道となります。自分の得意な技能があれば、そこを6.5に持ってくることを考えて、苦手な技能が5.5でもよい方向で総合スコアを6.0にすることも可能ですが、得意なセクションでもその勉強を怠ると下がる可能性や伸び悩む可能性もあるので気をつけましょう。
総合スコア6.0の場合は一つのセクションが5.5であっても足して4で割って四捨五入になるので6.0の目標に届きます。または得意なセクションで6.5を取れれば、他の2つのセクションが5.5でも総合スコア6.0に届きます。
【総合スコア6.0の例】
L: 5.5 R: 6.0 W: 6.0 S: 6.0 = 23.5 ÷ 4 = 5.875 = 6.0
L: 6.0 R: 6.5 W: 5.5 S: 5.5 = 23.5 ÷ 4 = 5.875 = 6.0
セクション別対策方法
IELTS 6.0のリスニング対策
IELTSリスニングで6.0のスコアを獲得するには、40問中、23問~25問正解しなければなりません。つまり57%~62%の正答率を必要とします。
リスニングはセクション1~セクション4の大問題で構成されており、セクションが進むに連れて難易度も上がっていきます。セクション1とセクション2は日常会話になりますが、セクション2では地図問題など先読みが必要になる問題もしばしば出題されます。
この地図問題が苦手な方にとっては、セクション2が難しいと感じられるかもしれません。
一方で、セクション3とセクション4では学問的な内容になりアカデミックな単語が増えます。しかし、セクション4では穴埋め問題の質問形式になるため、得意とされる方も多くいらっしゃいます。
したがって、どのセクションで点数が取りやすいかは個人によるでしょう。
IELTS 6.0の正答率は半数以上です。自分が得意とするセクションを把握しどのセクションで点数が稼ぎやすいか予め知っておくとよいでしょう。だからといって、後々慌てないためにも比較的易しいと言われるセクション1とセクション2で全問正解を目指しましょう。リスニング力の強化にはディクテーションやリテンションの練習が効果的ですので簡単で短いリスニング教材を使用してリスリング力を鍛えながら課題に取り組んでいきましょう。またスクリプト等を確認してそこから知らない単語は覚えるようにして語彙力強化も図りましょう。
IELTS 6.0のリーディング対策
IELTSアカデミックのリーディングで6.0を獲得するには、40問中、23問~26問正解しなければなりません。こちらも57%~65%の正答率を必要とします。
各パッセージ12問~13問の、3つの長文パッセージが出題されます。
パッセージ1が一番難易度が低いと言われているのでここで確実に点数が取れるようにしましょう。仮にパッセージ1が全問正解であれば、目標とする正答率の半分を満たすため、残りのパッセージが難しくてもIELTS 6.0が取れる可能性は上がります。パッセージ2もしくは3のどちらかが一番難しいとされています。タイトルやトピックを見てどちらが自分にとって読みやすいか?を決めて2つのパッセージに集中して解いていきましょう。最後の難しいパッセージは時間が許す限り得意な設問から解いていく感じでよいでしょう。
読解力を向上させるには日頃からオンラインのニュース記事などを読むことを毎日続けましょう。あまり難しい教材は使わず自分のレベルにあった教材を選ぶことが大事です。目標としては下記のリーディングがしっかり読めるようになれば6.0の目標は達成できるでしょう。
IELTS 6.0のライティング対策
IELTSのライティングは、下記4つの項目を基準とし採点されます。
・完成度
・首尾一貫性
・単語
・文法
IELTSライティング 6.0では設問に対してある程度の一貫性のある内容が求められます。エッセイを書く上で文章構成がしっかりできているかがしっかり見られますので、ここが5.0と6.0の分岐点となります。自分の意見をバックアップしつつ、矛盾がなく話を展開させるのは思ったよりも難しいものです。また文法のミスを最小限に抑えることで6.0はグーン近くなるでしょう。
まずは文法のおさらいをして、正しい文章を書くことに集中しましょう。そして長く複雑な文章構造を使って書けるように重文のIF節や、関係代名詞や分詞、分詞構文をある程度使いこなせるようにしましょう。グラマーチェッカなどのアプリを使用しても構いません。その後、物事に対する考え方や論理的思考も合わせて求められますので、独学が厳しいようであれば添削サービスを使い、内容も見てもらえるプロの講師に添削を依頼するのが一番効率がよいでしょう。
まずはIELTS ライティングではしっかりした4段落の構成を覚えましょう。2つのタスクともに4段落構成で書きます。
Task 1 | Task 2 |
イントロダクション (問題文のパラフレーズと自分の意見) | イントロダクション (問題文のバラフレーズ) |
ボディー1 (理由1つ目) | まとめ (ざっとした特徴を述べる) |
ボディー2 (理由2つ目) | 詳細① |
結論 | 詳細② |
【IELTS ライティング 6.0の採点基準】
トピック完成度 | 首尾一貫性 | 単語 | 文法 | |
定義 | – addresses all parts of the task although some parts may be more fully covered than others – presents a relevant position although the conclusions may become unclear or repetitive – presents relevant main ideas but some may be inadequately developed / unclear | – arranges information and ideas coherently and there is a clear overall progression – uses cohesive devices effectively, but cohesion within and /or between sentences may be faulty or mechanical – may not always use referencing clearly or appropriately – uses paragraphing, but not always logically | – uses an adequate range of vocabulary for the task – attempts to use less common vocabulary but with some inaccuracy – makes some errors in spelling and/or word formation, but they do not impede communication | – uses a mix of simple and complex sentence forms – makes some errors in grammar and punctuation but they rarely reduce communication |
日本語訳 | – すべてのポイントがカバーされている が、 偏りがある – トピックに関連する意見を述べること ができるが、結論がはっきりしない、 もしくは繰返しが多いことがある – トピックに関連する考察を述べること ができるが、詳細が十分でない、もし くははっきりしないことがある | – 情報や考察を一貫して述べることができ、 論理的な順番になっている – 文章を繋げる表現を効果的に使っている が、間違いもしくは不自然なことがある – 具体例を持ってくるのが正しくない、 もしくははっきりしないことがある – パラフレーズを使っているが、正しくない ことがある | – トピックに適切な単語を使っている – アカデミックな単語を使おうとしているが正しくないことがある – スペルミス、語の並びに間違いがあるが意味は伝えられる | – 基本および複雑な文法を使っている – 文法と句読点で間違いがあるが意味は伝えられる |
IELTS 6.0のスピーキング対策
IELTSのスピーキングでは、下記4つの項目が採点基準となります。
・流暢さと一貫性
・語彙力
・文法
・発音
IELTSスピーキング 6.0を取るのに最も効果的なのは、止まることなく話し続ける事です。ある程度の文法ミスや反復はよしとされていますので、まずはしっかりと返答できることが大事になります。
確実に点数を取りたい場合は、話を展開させること。聞かれた事だけに応えるのではなく、話を広げるようにしましょう。Part 2では特に時間ギリギリまである程度話せることがポイントです。
練習は、ボイスレコーダーを使って、自分の声を録音して自分のスピーチをプレイバックして聞いてみましょう。しっかりと話せているか?発音が間違っているところはないか?聞き取りずらい所はないか?などを客観的に判断できます。
また、ChatGPT を利用してコミュニケーションのやり取りを練習が可能になりました。とくに「チャットボット」は、英語で話しかけると、自動的に返信してくれるツールで、英会話練習に大いに役立つと言われています。またChatGPTに音声を認識させる方法としてChromeの拡張機能を使うことができます。「Voice Control for ChatGPT」という拡張機能ですが、これを使えば、ブラウザ版でもスピーキング音声を認識してもらいながら学習ができます。AIチューターや、ゲーム・クイズを利用した英語学習は、学習者が楽しみながら学ぶことが出来るため、英語学習のモチベーションを維持することができるでしょう。
独学が難しい場合はIELTS専門の講師から学ぶのも一つの対策と言えます。
【IELTS スピーキング 6.0の採点基準】
流暢さと一貫性 | 語彙力 | 文法 | 発音 | |
定義 | – is willing to speak at length, though may lose coherence at times due to occasional repetition, self-correction or hesitation – uses a range of connectives and discourse markers but not always appropriately | – has a wide enough vocabulary to discuss topics at length and make meaning clear in spite of inappropriacies – generally paraphrases successfully | – uses a mix of simple and complex structures, but with limited flexibility – may make frequent mistakes with complex structures, though these rarely cause comprehension problems | – shows some effective use of features but this is not sustained – can generally be understood throughout, though mispronunciation of individual words or sounds reduces clarity at times |
日本語訳 | – 一定の長さを持って話すことができるが、繰返しや自己訂正、躊躇によって一貫性が無いことが時々ある – いろいろな種類の接続詞や挿入句、副詞を使っているが必ずしも正しく使用しているわけではない。 | – 一定の長さで話することができる、ある程度の語彙力は持っており、その意味を理解しているが、使い方を間違うことがある。 – ほとんどの場合、言い換え表現を正しく使うことができる。 | – 基本的な文法および多少複雑な文法を使うことができるが、応用性に欠け、使い方が限られている。 – 複雑な文章で頻繁に間違うことがあるが、だいたいの意味を正しく伝えることができる。 | – 正しく効果的に発音やアクセントを加えることができる時もある。 – 全体的に言いたいことが伝えられているが、たまに間違った発音によりクリアでないことがある。 |
まとめ
IELTSバンドスコア 6.0のレベルはTOEIC700点以上なので、IELTS特化の対策は必要です。6.0を獲得するには語彙力と文法能力はもちろん、各セクションの配点基準を把握して対策に取り組むとよいでしょう。特にライティングとスピーキングで伸び悩む生徒様は少なくありません。
独学で学ぶのが厳しい場合は、経験豊富な講師から学ぶのも一つの対策です。
一発で6.0を確実に!