仮定法現在

仮定法は何んとなく分かるけど、「仮定法現在」という文法項目は分からないという方も多いのではないでしょうか。仮定法とはif 節を伴う「もし~ならば」と訳せる文章のことですが、それと仮定法現在はちょっと違った発想の文法項目です。

仮定法現在の文章は例えばこのような文章です。

It is necessary that he pass the exam.

that節を伴う文章で、ある特定の動詞や構文のthat節には、中の動詞が原形になるものがあり「仮定法現在」と呼ばれます。今まで疑問に思った人も多いことでしょう。

直説法と仮定法

英語の動詞は、ある事柄を事実として述べる「直説法」と、事柄を心の中で想定して述べる場合の「仮定法」に分けることができます。
まず、私たちが一般的に知っている仮定法は、主に「もし~なら」「~だったらなぁ」といった、仮定の条件や願望を表す時や、あくまでも話し手の想定や仮定の内容を表す時に使います。動詞は過去形(仮定法過去)、もしくは過去完了形(仮定法過去完了)で示されることでしょう。

【例文】
If I were a bird, I can fly to you.
(もし私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。)

直説法は、事実や可能性が五分五分の内容の時に、それぞれの時制に従って動詞の形も変化します。ただの条件節と言われ、現実に反する仮定とは異なります。例えば、
If it rains tomorrow, we will go to the beach.
(もし明日晴れれば、ビーチに行きましょう。)

仮定法現在は、こちら上記の仮定法と直接法(条件節)と区別して考える必要があります。

仮定法現在が使われる2パターン

提案・要求・希望・勧告(おすすめ)などを表す動詞に続くthat節の中の動詞は原形になります。

理由は、that節の中にはもともとshould があり、それが省略されて起こる現象です。
動詞には、advise, ask, demand, desire, insist, move, propose, recommend, request, require, suggest などが挙げられれます。

例文を見てみましょう。

 I propose that you (should) go there.
(私はあなたがそこに行くことを提案します。)

仮定法現在のthat節にnotが含まれる場合は、notの位置に注意しましょう。

 I suggest that we (should) not jump to conclusions. 
(結論に飛びつかないようにしてはどうでしょうか。)

  • I propose that we take a vote on that next week.
    その件は来週票決することを提案します。

  • The doctor advised that she remain in bed for a few more days.
    (医者は彼女にあと4,5日は寝てなさいと言いました。)

  • The man asked that his name be hidden.
    (その男は名前を伏せておいてもらいたいと言った。)

  • The WHO recommends that potential allergens be shown on labels.
    (WHOは潜在的なアレルゲンがラベルに示されるよう推奨している。)

  • In Japan, the law requires that certain ingredients be listed on labels.
    (日本では、法律で特定の原材料がラベルに記載されるよう求められている。)

It is necessary that …などの構文でも、that節の中の動詞は原形になります。

necessaryの位置には、必要・重要・妥当を表す形容詞が入ります。
advisable, compulsory, crucial, desirable, essential, fair, imperative, important, necessary, proper, vitalなど

例文を見てみましょう。

It is necessary that we (should) be prepared for the worst.=It is necessary for us to be prepared for the worst.
(最悪の場合に備えておく必要がある。)

It is important that exceptions (should) not be made. notの位置に注意!
(例外を作らないことが大切だ。)


これまで説明した仮定法現在の構文で、提案・要求といった動詞に続くthat節の中は、話し手の心の中で想定された事柄を表す(仮定している)ために shouldが置かれて、それが省略されると考えるとよいでしょう。

そのため、こういった場合のthat節にも例外があります。イギリスでは、口語的な表現として、以下のように時制の一致が見られるケースもあります。

  • We propose that Mr. Yamada goes.
    (私たちは山田さんが行くことを提案する。)
     
  • I suggested that he took legal advice.
    (私は彼が法的助言を受けるよう提案した。)

ただし「主張する」という意味の「insist」について、事実を主張する場合は話し手の想定ではなくなるので、仮定法現在ではなく、直接法を用い、それぞれの時制に従って動詞の形も変化させます。

以下の文の違いを考えてみましょう。

  • Ms. Tanaka insisted that her daughter always come home early. 
    (田中さんは娘さんにいつも早く帰ってきなさいと言い渡していた。)4

  • Ms. Tanaka insisted that her daughter always came home early. 
    (田中さんは、娘さんはいつも早く帰って遅くなることはないと繰り返し言い張った。)

※It is necessary that …などの構文で直説法を使うケースはイギリスでも少ないようですが、仮定法現在と直説法を並列して扱うとする場合の例外も多々あります。また、shouldを省略しない場合もあります。

  • It is vital that we (should)be present.
    (私たちが出席することが重要だ。)

  • It is vital that we are present.
    (私たちが出席することが重要だ。)

仮定法現在のまとめ

仮定法現在は、よく知られている仮定法とはちょっと違った発想をする必要がありますが、頻繁に使用される文法のルールです。直説法と仮定法から区別して考えましょう。以下の条件の時に使用されますので、例文を覚えてしまうとよいでしょう。TOEICのリーディング問題でよく出題されます。

  1. 提案・要求・希望・勧告(おすすめ)などを表す動詞のthat節
  2. It is necessary that …など必要・重要・妥当を表す形容詞が使われる構文のthat節

知らないから「できる」に

Metropolitan Academy of English

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