IELTSとは?IELTSの概要と対策

IELTS の受験者は年々増加傾向にあります。国際的に認知されているテストで高い信頼性を持った英語能力判定テストです。しかし、IELTSの勉強を始めようとしても、IELTS を受験したことがない、そしてそもそもその試験について熟知していない場合は何から手を付けていいか分からない方がほとんどではないかと思います。模擬テストをやったが、間違いだらけ。まずは、IELTS がどのようなテストか把握することからIELTSの対策は始まります。

IELTSとは?

IELTSとは、(英語名)The International English Language Testing Systemの略称で、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングという4つの技能の英語力を測る試験です。海外留学、就労、移住などの目的に応じてグローバルに使われている英語4技能試験。「IELTS アカデミック」「IELTS ジェネラル」の2つのモジュールが用意されています。
IELTS アカデミックは、海外の大学への留学や、日本の大学でも、海外からの進学の場合に提出が求められます。IELTSジェネラルは、英語圏への移民や移住をする場合に必要となります。

日本では、日本英語検定協会とIDP EDUCATION、ブリティッシュ・カウンシルを始めとした複数の機関がIELTSの試験実施を主催しています。コンピュータ試験も導入され、主要都市ではIELTSテストをコンピューターで受験することができます。

IELTSでは、英語の4技能すべてをテストするため、試験は半日から1日かかります。試験開始はほとんどの場合が午前9時頃で、ライティング、リーディング、リスニングのテストに3時間程かかります。
その後、スピーキングテストが実施されます。スピーキングテストの受験までに大幅に待ち時間が発生する場合がありますので、あらかじめ会場周辺で時間を潰せる場所を探しておくといいかもしれません。コンピューターのテストですと午後にテストを受験することができるため、その場合はスピーキングは午前に行われます。

試験結果は、コンピューター受験だと3~5日後にオンラインで発表されます。ペーパーベース(筆記試験)だと、2週間後にオンラインでチェックすることができます。

IELTSの受験料は1回あたり‎‎25,380円となっています。コンピューター版は27,500円です。(2024年5月)

IELTSテストのポイント

  • 4つの英語技能(ライティング、リーディング、リスニング、スピーキング)を測る
  • スコアスケール(バンドスコアと呼ばれる)1(最低)から9(最高)の段階評価で示され、0.5刻みで示される
  • テストは2つのモジュールがあり、留学や進学の目的ならアカデミック、就職や移住目的ならジェネラル・モジュールを選ぶ
  • 受験はコンピューター方式、ペーパー方式から選べる



イギリスのビザ申請の場合は、IELTS for UKVIを受験しなければならないことがあります。ご自身の進学先や目的(就労・移住など)と、その英語要件を確認して申し込みましょう。IELTS for UKVIの詳細は以下の記事をご覧ください。

IELTSの試験時間と問題数

IELTSの試験はアカデミックとジェネラルではリスニングとスピーキングは共通ですが、リーディング・ライティングは問題の傾向・構成が違います。試験時間と問題数は同じです。

  • リスニング  約40分(40問)
  • リーディング 60分(40問)
  • ライティング 60分(2問)
  • スピーキング 約14分(パート1, 2, 3)

IELTS 試験の流れ

IELTSの試験の流れはペーパーベースとコンピューターベースでは違いがあります。

コンピューターベースは世界共通で以下の順番で試験が行われます。
①リスニング ➡ ②リーディング ➡ ③ライティング

試験の開始時間により(午前、午後、夕方)スピーキングは前後します。つまり、以下のどちらかのスケジュールになります。
①スピーキング ➡ ②リスニング ➡ ③リーディング ➡ ④ライティング
①リスニング ➡ ②リーディング ➡ ③ライティング ➡ ④スピーキング

日本でのペーパーテストは以下の順番ですが、会場によってはスピーキングの試験を別の日に予約することもできます。
①ライティング ➡ ②リスニング ➡ ③リーディング ➡ ④スピーキング

IELTSの評価スケール

IELTSの評価スケールは0から9のバンドスコアで計られます。

ほとんどの場合、大学進学にはIELTS アカデミックの6.0以上、大学院進学には7.0以上が求められます。ご希望の大学や進学先から要求されるスコアを確認して対策を取りましょう。全体(Overall)のスコアだけでなく、各セクションごとの要件が設定されている場合も多いです。

移民の場合は、カナダではIELTS ジェネラルの6.0以上が求められますが、IELTSのスコアが高ければ高いほど移民申請に有利だと言われています。こちらも国によって要件が違うため、対策を始めるまでに把握してかなくてはなりません。

以下は、素点(表下段)ごとのバンドスコアを表したグラフです。

IELTS リスニング

Band Score98.587.576.565.554.543.532.5
Score /4039-4037-3835-3632-3430-3126-2923-2518-2216-1713-1510-128-106-74-5

IELTS アカデミックリーディング

Band Score98.587.576.565.554.543.532.5
Score /4039-4037-3835-3633-3430-3227-2923-2519-2215-1813-1410-128-96-74-5

IELTS ジェネラルリーディング

Band Score98.587.576.565.554.543.532.5
Score /40403937-383634-3532-3330-3127-2923-2619-2215-1812-149-116-8
スクロールできます
Band スコア
9.0
エキスパートユーザー十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力がある。
Band スコア
8.0-8.5
非常に優秀なユーザー時折、不正確さや不適切さ不規則にみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない 状況においては、誤解が生ずることもありえる。複雑で込み入った議論に対応することができる。
Band スコア
7.0-7.5
優秀なユーザー時折、不正確さや不適切さ、誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。概して複雑な言語も上手く扱い、理解しており、厳密な論理に従って物事を捉えることができる。
Band スコア
6.0-6.5
有能なユーザー不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力がある。特に、慣れ親しんだ状況下では、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。
Band スコア
5.0-5.5
中程度のユーザー部分的に英語を駆使する能力があり、ほとんどの状況で全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いもある。自身の精通した分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。
Band スコア
4.0-4.5
限定的ユーザー慣れ親しんだ状況においてのみ、基本的能力を発揮することができるが、理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。
Band スコア
3.5
非常に限定的なユーザーこれが実際に使用される最低スコアと考えてよいかと思います。

以下は、バンドスコアごとの英語能力を説明した表です。
バンドスコアについての詳細は、下記のページでご確認ください。

IELTS 各セクション別の概要(アカデミック)

リーディング

アカデミックリーディングでは2ページ弱(800文字~900文字程度)の長文が3つ出題されます。全部で40問の設問(1パッセージに12~13問)を60分で解いていきます。1パッセージ当たりにかける時間は20分程と、時間との戦いになります。

設問形式は決まっていて、選択問題、穴埋め、TRUE/FALSE/NOT GIVEN (YES/NO/NOTGIVEN)、タイトル付け等の問題が出題されます。動物のリサーチや環境問題などの学術的なトピックについてのリーディング課題です。パッセージ1が最も易しいと言われています。読解力に加え語彙力、言い換えを瞬時に見分ける能力が問われます。

リスニング

セクション1-4までに分かれています。1セクション10問、合計40問の設問に対して40分で解きます。オーディオは1度しか流れず、聞きながら設問を読み、解答しています。

設問形式は、穴埋め、選択問題、マップ問題等、リーディングと同様、いつも決まっています。セクション1が一番易しく、難易度はセクションが進むにつれて高くなっていきます。リスニングでも記述式なので、穴埋め問題は単語のスペルを正しく書かなくてはいけません。

リスニングの内容は、2人の会話や説明文、講義の聞き取りで、イギリスやオーストラリアのアクセントを主流としています。リスニングのスピードはそれほど速くないですが、パートが進むごとにひっかけ問題等の聞き分けが必要になり、内容を理解していないと解けない問題になっています。

ライティング

IELTS アカデミックのライティングはタスク1 とタスク2 に分けられます。試験時間は合計60分です。

タスク1は図表の説明マップの説明プロセスマップの説明の3つに分けられます。タスク1は150語20分で終わらせるように指示がありますが、タスク1,2合わせて60分ですので、時間配分は自由です。

タスク2はエッセイです。250語を40分で書き終わるようにしましょう。エッセイの方が点数の比重が高いと言われているため、タスク2を書き上げる方が得点にはつながりやすいです。

スピーキング

IELTSスピーキングセクションは、試験官と1対1の対面形式で行われます。コンピューター形式のテストでも、スピーキングは対面で行われます。パート1、パート2、パート3に分かれており、合計で14分程のテストです。

パート1は友達、家族、趣味や仕事などの日常的な話題についての質問になります。自己紹介的なパートで答えやすい質問が6つほど出題されます。このパートが一番質問数が多いので、あまり長くならないように注意しましょう。

パート2では、トピックカード(トピックが書かれた紙)を渡され、そのトピックについて1~2分のスピーチをします。トピックカードを渡された後、準備時間が1分間与えられますので、その時間を有効活用しましょう。トピックカードを見て、箇条書きで何について話すかをリストアップします。
トピックカードには、話す内容のポイント(ガイドライン)が3つから4つ書かれていますが、このガイドラインについて必ずしも話さなければいけないものではありません。ガイドラインだけ話しても2分間続かないことも多々あります。2分間続けるためには具体例を入れ、肉付けしていく必要があります。そして2分ぎりぎりまでしゃべることがスコアアップにつながります。


パート3はパート2でのスピーチに関する追加的な質問が聞かれます。抽象的な質問が多く難しいパートと言えます。試験官とのディスカッション形式で、試験官からの質問に対して即返答します。パート3ではなるべく長く答えることを意識しましょう。理由はなるべく2つ挙げ、具体例を入れて自分の意見を伝えましょう。

IELTS 各セクション別の概要(ジェネラル)

リスニング・スピーキングはアカデミックと同じ問題が出題されるため、リーディング・ライティングの概要についてご説明します。

リーディング

ジェネラルリーディングは、制限時間60分で合計40問、3つのセクションで構成されます。アカデミックより難易度は低くセクション1と2では、生活に密着した話題のリーディングが出題されます。ジェネラルリーディングはバンドスコア換算される素点が高いので、あまり間違えることができません。

セクション1は広告関連の1ページ程度の短文が2つ。セクション2は、仕事関連の短文が2つ出題され、どちらも1ページ程度の文章です。ジェネラルのスコアは大抵は移民目的で使用されることもあり、セクション1・2については生活に関連したトピックですのでここで正答率を高めましょう。
セクション3は、2ページ程度の様々なトピックの長文が1つ出題され、アカデミック並みに難しくなります。

ライティング

ジェネラルライティングも、アカデミックと同様タスク1とタスク2に分けられます。試験時間は合計60分です。

タスク1は手紙を書く課題です。課題によって、フォーマルレターかインフォーマルレターを書きます。タスク1は150語20分で終わらせるように指示がありますが、タスク1,2合わせて60分ですので、時間配分は自由です。メールを英語で書くタイプですが、自分で話を作る必要があります。

タスク2はエッセイです。こちらはアカデミックと似た課題が出題されます。250語を40分で書き終わるようにしましょう。エッセイの方が点数の比重が高いと言われているため、タスク2を書き上げる方が得点にはつながりやすいです。

目標スコアごとの IELTS 対策計画

IELTSの受講料は税込25,380円と、決して気軽に何度も受けられる値段ではありません。対策を始める前に、目標スコアを確認し、しっかりとした対策をして臨みましょう。

働きながら試験対策を行う場合、1週間にどれだけ勉強時間を確保できるかを計算しましょう。IELTSはスコアを0.5上げるのに200から300時間かかると言われているため、現在の英語力と目標スコアの道のりを計算して期間を決めます。勉強を習慣化させてコツコツ行うことも大事ですが、モチベーションを失わないように明確なゴールと道のりを決めましょう。自分の学習スタイルが短期集中派であれば、明確なゴールと試験日を先に決めて突っ走りましょう。

IELTS 対策と効果的な勉強法

①IELTSの勉強を始める方は、まず英単語やイディオムを覚えて、語彙を増やすことが大切です。語彙力はIELTSの全てのセクションで求められます。まずはリーディングの練習、語彙の強化、文法の復習など、インプットから始めましょう。IELTSでは言い換え表現が多く見られるため、同義語や類義語も覚えておきます。言い換え表現は、リーディング・リスニングだけでなく、ライティング・スピーキングといったアウトプット科目でも求められます。

②その次に文法がおろそかな方は文法のおさらいをしましょう。IELTSの試験はTOEICと違って直接文法を問われる問題はありませんが、読解力やリスニング力、スピーキング力を底上げするのは基礎的な文法は欠かせません。

③基礎英語力がついたら、読解力を養いましょう。IELTSの教材を使用できる方は使用しても構いませんが、少し難しすぎると思う方は短めのリーディングテキストを使用して読解力を養いましょう。

④リスニング力を養いましょう。リスイングは短い音声のものでも構いませんし、英語のYoutubeを聞くことでも役に立ちます。日々欠かさず「英語を聞く」ことで英語を聞き取ることができるようになります。忍耐力を必要としますが、ディクテーションやシャドーイングを取り入れて少しづつ向上させましょう。

④IELTS過去問題を使用してIELTSの傾向や設問タイプに慣れましょう。IELTS単語のアプリでの学習もおすすめです。



モチベーションをキープするためには、英語の学習を習慣化してしまいましょう。勉強する時間を固定するのもおすすめです。習慣化すれば、モチベーションにかかわらず勉強に取り組めます。

IELTSのスコアを1.0上げる勉強法は?

IELTSの総合スコアを1.0上げるのには、約3カ月かかると言われていますが、IELTSのスコアを5.0から6.0に上げることはさほど難しいことではなく、IELTSに特化した試験対策と、英語基礎能力を高める勉強法、つまり語彙の強化、文法のおさらい、リスニング強化対策(シャドーイングとディクテーション、リテンションの練習)を組み合わせていくことで1.0のスコアアップも目指せるでしょう。

IELTSのスコアは、6.0→7.0にすることが最も難しいと言われています。まずは、しっかりとした対策を取り、IELTSの試験に臨みましょう。一発で合格点を取れる人は少ないことを念頭に入れてください。試験の環境になれていない、緊張してしまう、など、本来の実力を発揮できないことを避けるため、余裕をもって望むことが必要です。

まとめ

IELTSとはグローバルに受け入れられている英語能力試験。最近では受験者数は年々増加している傾向にあります。リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つのセクションで構成される約3時間の試験です。進学のためのアカデミック、移民や就職のためのジェネラルの2つのモジュールに分かれます。留学先の国や学校の種類によって、必要なスコアが違ってきますので、ご自分の目的、目標スコア、取得時期を見極めて、それぞれのセクション対策を速めに行うと良いでしょう。

目標スコアまでの近道

Metropolitan Academy of English

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